メモ

記録

こんにゃく、VBA、どら焼きとマッコリ



某日

昼休みに商店街を歩いていて、ふと、他者との関係性の中に自分の個性(ひいては人格?)を見出そうとするのはなんかあんまり良くないのかもと思い始めた。

あんまり誰とも話さない日を過ごすと、自分の輪郭がぼやけるような気がする。


こんにゃくの煮物にハマって昨日今日と作ったが、近所の八百屋の80円のこんにゃくではなく駅前のスーパーのもっと高いこんにゃくで作ったらもっと美味しいのだろうか……


某日


午前の会議の後、昼休みに布団の中で『仕事本』を読んでいたら寝てしまった。

午後一で部下との会議があるのでのそのそと起き出して話す。

仕事の話の後、雑談。若手組織から命令されてプログラミングの勉強会をやっているらしい。

言語は?と聞くと、VBAとのこと。

Excelのセルに色をつけてみよう!みたいなことやってます」と言われた。

ググッたらすぐにできそうだな、と思った(実際言った。「プログラミングなんて全部そうっすよ」と返された。たしかにそうかも)。

まあでも、私はVBAでセルに色をつけることは出来ないので、素直に「すごいね」と伝えた。定時外に集まってみんなでやるようなことなのかについては、割と疑問だな……と思ったが、真面目な人なので水を差してはいけないとは思い、「すごいね」ともう一度言った。


ところで最近、家の近くにファミマができた。

いままでの人生、実家の最寄りコンビニも会社のビルに入ってるコンビニもファミマで、いろいろと食べてはみたものの、無印が撤退した今、ファミマに食べる価値のあるものは基本無いという結論に達していたが、こうもファミマに追いかけ回されているとスッパリ諦めるのもなぁという気持ちになってきた。

しかしそれで一昨日ファミマのカスタードケーキ(すみっコぐらしの形)を食べたところ、「カスタードならなんでも美味しいよね」という圧倒的カスター党゛の私が首を傾げるほどのビミョーな味だった。

食感は良い。けど、なんか3m先に謎の酸味が居て、かそけき声で「こっちだよ」と呼びかけられた(イメージ映像)。なぜカスタードに酸味……?チーズ味だったかと思ってパッケージをくまなく確認した(チーズ味ではなかった)。

しかし諦めの悪い人間なので、ファミマに食べる価値のあるものはまだあるかい(強烈に字余り)と(心の中で)歌いながらTwitterでファミマのおすすめスイーツ情報を募った。

「家の近所で3番めに近いところまでファミマ」というファミマ包囲網のなかにいる方などからコメントなどをいただく。

薦めてもらったお菓子をいくつか購入。


黒みつしみうまどら焼きを食べた。

うっはー!すごく甘い。甘い!

でもたしかに、ファミマのお菓子を食べた時に必ず感じる何かしらの引っかかりは全然ない。生クリームがふわふわでおいしい。黒蜜の味はあんまりしない。

ファミマの頂きに到達した感じがする。

ところで、うさぎやのどら焼きが食べたい。阿佐ヶ谷に行くたび土曜日(うさぎやの定休日)で、いつもやむなく鉢の木でお菓子を買うのだが、まあ鉢の木のお菓子もおいしいけど、本当はうさぎやのどら焼きが食べたい。


『尼僧とキューピットの弓』を読んでいたら寝てしまい、24時頃起きる。

Ride on TimeにV6が出るので慌てて風呂に入る。観る。胸震える。老化は必ずしも美を損なわない。魂と志、優しさや知性を宿した肉体は美しい。どんなに肌や髪がくたびれても。そう思わせてくれるからこの全員40オーバーのアイドルグループが好きだ……


尼僧を読破して、4時頃気絶した。


某日


指原さんのメイク動画に触発され、近年稀に見る丁寧さで化粧する。

化粧をすると顔が良くなるな、と思った。当たり前だ。マスカラが乾ききっている。リキッドの方のアイライナーもインキが出ない(ペンシルの方は出る)。週に1度くらいしか使わないので、購入する踏ん切りがつかない。本当はマスカラもシェーディングもアイライナーもチークも下地もコンシーラーもパウダーもリップも新しいのが欲しい。アイシャドウだけは別にいい。いっぱいあるから。


髪の毛を巻いたあとピアスをつけようとして洗面所の排水口に流してしまった。さようなら。落ち込んだ。


吉祥寺の紀伊國屋書店でひと月分の本をまとめ買いする。

シティベーカリーで昼ごはんのつもりが満席。吉祥寺、人いすぎだろ。500万人はいたと思う。


久しぶりに会う先輩がうちに来た。

クッキーをつまみながら色々な話をし、焼肉屋に移動してマッコリのボトルをあけ、

「わたし、結局自分大好きだからさ〜!」と歯を見せて笑ってくれたので好きになってしまった(もともと好きだったが)。

高級さわら、焼き芋、無為な休日



某日

仲良しの先輩が遊びに来る

彼女に無理やりベルリンフィルの映像を見せたりしてる間に料理を好きなだけ作る

1切れ600円のさわら きわめて美味


某日

仕事をして、ギターとバイオリンを練習

ギターは全然弾けなくなっていた

教室に通うか迷う

夜の11時に焼き芋を作って賞味期限切れのバターを塗って食べる おいしい これは大罪


某日

昼過ぎに起きて、昨日焼いた芋を食べつつ残り2話のこっていたThe InBESTigatorsのS2を観る

昨日の夜、芋の焼き方を教えてくれた(芋もくれた)激情型幼なじみに「自然な甘さがおいしいね」とLINEしたのだが、そこへ「自然の甘さ続けてたらだんだん白砂糖くどく思えてくるよ」と返信が来ていた。

「さすがだ」と返しながら、平然とルマンドを齧ってしまう。そして普通に旨い。私はまだまだだ。

そのままベッドに戻ったが、このままでは休日が無為なものに…(いつもわりと無為だが)と思い、着替え、軽く化粧し、積読を2冊引っ掴んで、行こう行こうと思っていた近所のハンバーガー屋のランチタイムに駆け込む。

味、普通。普通……

浅田家!(映画)を見た後に衝動買いした『アルバムのチカラ』を読む。

震災の時に、被災したアルバムや写真の洗浄・持ち主への返却をボランティアでやっていた人たちの記録。

こういう時に何かせねばと金銭的見返りを求めず行動に訴えでる生命力のある人なぁ、と思う。うちの父もこの頃、被災地に音楽ホールを誘致するプロジェクトに参加して何度も東北に足を運んでいた。(当時教えていた関東の学校の吹奏楽部と、被災地の学校のそれとで合同演奏会をするなど)

生命力の違い?なんの違い?わからないけど、そういう人たちの熱気がむんむんしている本だった。

そのあと、様々な職業の人たちのコロナ禍での日記を収録した『仕事本』を読む。

尾崎世界観の文章が圧倒的に上手い。

厚底ブーツ、高級チョコともつ鍋

某日

通ってた大学の最寄り駅に久しぶりに降りた。

大学(は違うが)の先輩二人と昼ごはんを食べて、お茶をする。

昼ごはんの店は大学の頃は絶対なんか違う店だったと思うんだけど思い出せない。自然薯レストラン?になっていた。ほたてをはじめとする天ぷら盛り合わせ+そばを食べる。

当時、激情型幼馴染から「自己肯定感を高めるためにスケジュールを埋めてしまう、忙しく立ち働いていると気がまぎれる」みたいな話をされていたので、先輩二人に「自己肯定感が下がったときどうするか?」という質問をした。「あんまり下がらない」「上げようともならない。寝る」みたいな返答がきて、気持ちの良い人たちだなと思った。

本格的なドッチボールサークルの話を聞く。「体験に来ている初心者の人に対して、手加減してあまりボールをあてないでいると、かえって試合終盤に追い込まれて怖い思いをさせてしまうので、早めにアウトにしてあげたほうが本人のため」みたいな話をされて、なんかすごいなと思った。

カフェに移動して、私が「キングヌーのことを好きになりたいのにどうもなれない」という相談をする。好きになれないモンはしょうがないという結論に当然至ったが、「キングヌーのこと好きじゃないなんて公共の場で言ったら、帰り道でドクターマーチンとかみたいな厚底のブーツを履いた人に襲われるよ」と言われたので怯えた。それから、その先輩に「知り合いのキングヌーファンが宅飲みの最中に皆を放置してキングヌーのPVを観始める様子」の動画を見せてもらった。横の賑わいを完全無視してPC画面に釘付けになっている、あんまり厚底ブーツは履かなさそうな感じの女性の動画だった。ちょっと怖かった。

ミレパの新曲を聞かせたら音楽に詳しい方の先輩が「耳がいっぱいになる…」と顔をしかめていた。耳の解像度が高い人に聞かせるとそうなってしまうっぽい。

高田馬場に移動。うなぎの白焼きなどを食べる。美味しかった。

先述の悩める幼馴染の話を聞いていき、結局安直に転職を進める。

化粧ポーチをトイレに忘れて帰った。

 

某日

Twitterで知り合った人がなんと同じ町に住んでおり…!という経緯で付き合いが始まった人と会う。

なんかいろいろをいただく。お茶に詳しい人で、見たこともない茶葉を二種類くれた。

ただ、この街で一杯380円の赤ワインはマジで底値っていうか、ずっと頭が痛かったし翌日まで酒が抜けなかった。焼酎とのちゃんぽんが良くなかったか?いやあ、それくらいならいつもしてるしな。

 

某日

またべつのTwitterで知り合った人と会う。広尾でカフェをはしごしていい感じのものを食べる。生まれて初めて、高いチョコ(一粒数百円するやつ!)をもらう。恐縮する。

恵比寿に移動して、激情型幼馴染と、欧米育ちの女と三人でイタリアンを食べる。金融やらなんやらにいた時の「ヤバ案件」の話などを聞き、う~ん、でっかい金がヤッバい価値観ではじけ飛んだりする話はコンテンツ力が強くていいなあ、と爆笑しながらも嫉妬。私なんてしょせん、下請けのIT屋さんに過ぎないのでね…

「なぜ暗めのアニメとBLの金字塔では、己の孤独を理由に優しい人を傷つけることが神視点から”エモ”みたいになってることが多いのか!?それでもなお、その暴力は許されないだろう!!」という話を激しく力説した。

欧米女は「仕事で失敗した時、知恵袋などでもっとやばい失敗をしている人の体験談を漁って安心を得ようとしてしまう。みんな下には下がいると思いたいのだ」(=作品中で闇落ちしているキャラに若干感情移入するものの、でも自分はまだこういう暴力には訴え出てないぞ、と思えるのでは?)と言っていた。

激情型幼馴染は、「でもさあ~まあ人なんて殺しちゃったら人生オワオワリだけど、もし自分の人生を一冊の本にするとしたら、内容は充実していた方がいいわけで…」などと言い出したので爆笑したが怖くはあった「オワオワリ」って言う人初めて見たな…

店の中、なんか偉そうな男性と髪がばちばちにセットされている女性、という組み合わせが何組かいて怖かった。

 

某日

友達に送る古着を梱包したりしてから、ネトフリでDeath to 2020を見つつぼんやりチョコを食べたりしつつだらだら化粧をしたり髪を巻いたりしていたら待ち合わせの時間に遅れる。

グルメの先輩と二人ともがよく行く焼肉屋に初めて二人で行った。

いつも一人で行くと、店主から「こないだ〇〇さん来てましたよ!」と言われて「そうですか(元気にやってるんだな)」みたいな謎の焼肉屋店主を介した生存確認をしたりしていたんだけれども満を!持して!二人で!

焼肉はいつもながら美味しかった。ふだんご馳走してもらうことばかりなのでしょぼいお菓子(HIGASHIYAの落雁)を渡したところ、あっけなく有名パティスリーのチョコで打ち返された。グルメの道で私が彼に先んじる日は一生来ないであろう…舎弟になろっと。

 

某日

絶賛彼氏探し中のマブダチがうちに来る。

蟻月のもつ鍋が食べたいので、お取り寄せでしっぽりやろうという算段。

汁の味にいろいろとバリエーションがあるので、事前にLINEで話し合って、「赤(しょうゆ味)がたべたい」という友人の意見を私が押し切って、「炎(辛みそ味)のもつ鍋にしよう」ということに相成っていたのだが、食べ進めても全然辛くなく、「いやこれ間違ってるでしょ」「少しも辛くないよ」「てか醤油味だよこれ」などと言い合っていたが、三分の一ほど食べたところで突然、「あ、間違えてたわ」と私がミスに気付いた。

我々が食べていたのは炎(辛みそ)のもつ鍋ではなく、赤(しょうゆ)のもつ鍋だった……んですよね……

私が発注したんですけど、「炎」を意識しすぎて、炎の色(=「赤」)のやつを頼んでしまいました。たぶん。言い訳ですけど。たぶんポチった時半分寝てました。

「まあ私はもともと赤が食べたかったからいいですよ」と友人がのんびり言うので私だけが「辛みそ…」とがっくりきていた。

彼女は私の友人の中では本当に珍しいくらい「普通」を愛する人間(そのあまりに強い愛し方がちょっと変という見方もあるが)で、自立はしているがこれといったこだわりもなく、他人に対する好き嫌いがあまりない。それでどうやって付き合う人間の種類や、付き合いの深さを決めているのか全然分からなかったので、それを聞いたところ自己開示の加減は向こうがどれくらい開示するかに合わせているんだよと言われた。

ほお~ん、みたいに返事したと思う。全然分からなかった。

私の場合はこれこれこうで、という話をした。ほお~ん、みたいな反応だったと思う。頻繁に会っているけど、いつも壁打ち状態になる。ぜんぜん嫌ではない。

もつ鍋で部屋がくさくなるかと思いきや、階下の居酒屋が煮込んでいるニンニクカレー(なのか???とにかくそういう匂いだ)の方がずっと強く、マンションのエントランスがすごいスメルになっていた。

 

某日

ネトフリでルパンを見る。

昼から、お取り寄せチョコを送り合った後輩二人(既婚1、独身1)とオンラインお茶会をする。

一応、身の回りの結婚状況についての情報を共有する。チョコの食レポを頑張りながら近況など話す。独身の後輩に「私たちはこんな、ちょっとシュールな四コマギャグ漫画みたいな日常送ってる場合なんですかね!?」と言われ、「ちょっとシュールな四コマギャグ漫画みたいな日常とか最高だろ!」と言い返す。

既婚の後輩がしてくれた「ちぢみほうれん草がおいしい。普通のほうれん草と同じ食べ方をしても、ちぢみほうれん草の方がなんかおいしい」という話と、「職場で差別的なことを言ってはばからない人たちに対する呼び名が”森”、”森たち”になった」という話が有益だった。

ひとしきり盛り上がって、激情型幼馴染との待ち合わせに1時間遅刻する。

彼女は基本的に毎回必ず30分単位で遅刻をしてくるのだが、今日に限って無遅刻・かつ私に芋やチョコなどを持ってきてくれていたのでやや恐縮する。

カフェで私を待っている間、彼女の隣に激しく嫌な感じの話をし続ける妙齢の女性①とそれをただ静かに訊く妙齢の女性②がいたらしく、①について「内面は顔に出るね。いじわるババアの顔してるよ」と幼馴染からLINE実況が届く。「いじわるババア」にはなりたくないな…と思う。ババアでもジジイでも構わないのだが、「いじわる」と評される中年はきつい。笑えない。たぶん、どの角度から見てもあんまり社会貢献にならない。

 

某日

中学と高校が一緒だった(はずだが当時の思い出はほぼ無い)同級生が、「一人暮らしを始めて寂しい」という理由で家に招いてくれたので、ほいほいと呼ばれる。

大学の間、ときたま同席の機会がありそこで「ヨッ」と挨拶したり、その後インスタのDMでたまにリアクションを送り合ったりはしていたが、二人きりで会ったことはなかったので、たいそう緊張して出かける。

素敵なお部屋・おしゃれでおいしいごはん・次々に出てくる紅茶やコーヒー・賢い人から繰り出される含蓄のある話 でばっちりともてなされ、上機嫌で帰宅した。

内なる魂はグラグラと燃えているのだと思うが、人当たりの印象が(いうなれば私の500000000000000倍)柔和でやさしげだからか、彼女が他人に何か無礼なこと(だと私は勝手に判断いたした)を言われた話を聞いていると、私の方が「そんな傲慢な人間とは付き合わなくてよい!!!!!」などとおいらはボイラー状態になってしまった。沸点低。

「私はその人と会ったことはないし、一面的な見方をした上でこれを言うけど」とか「これは悪口のつもりではないけども」とか無意味なエクスキューズをつけてブシュブシュと湯気をまき散らし乱暴にいろいろなものを断罪する私に、彼女はあくまで微笑んでいたので本当に人間ができているなと思った。

断罪するのは簡単なんですよ。色々と彼女と話していて思ったけど、曖昧さや複雑性を引き受けようとするのは頭にも心にも大きな負担を与えますが、その方が世界に対して誠実ですよね。わかる。

帰宅して、ウーバーイーツしたタイ料理を食べなあがらThe InBESTigatorsのS1を最後まで見た。

『夜と霧』の輪2020(10月の読書月記)

10月。

夜と霧 新版

夜と霧 新版

 

高校卒業いらい全く会っていなかった同期と飲むことになったため、彼女に薦められた『夜と霧』(ヴィクトル・エミール・フランクル)を読む。

これを彼女に薦められたのは2回目。2度も薦められたら読まざるを得ん。桜庭一樹読書日記に触発されて、めちゃ久しぶりに行った紀伊國屋書店の本店で購入。

往年の名作なのに文庫がなくて、単行本のみ。毎年読書感想文の課題図書になるからって!みすず書房ったら強気の商売!!でもやっぱり面陳されてるんだよなあ。売れる本なんですね。

 

ストーリーに「夜と霧なう」みたいな投稿をしたら、大学時代のサークルの先輩(私の知り合いの中で、もっとも読書の趣味が良いと思ってる人)から「え、私もいまちょうど読んでるんだけど笑 こんなんかぶることある?笑」という反応が来てたまげる。先輩と私は読書の守備範囲があんまりかぶらないので、お互いに本を薦め合うことはあっても、既読本が重なることはほぼないのに…。まさかの『夜と霧』かぶり…。往年の名作の強さ見せつけられた…。

ちなみにこないだこの先輩から「『レミゼラブル』持ってない?さいきん民衆の歌が耳から離れなくてさ~」みたいなDMが来た。持ってません。そして、民衆の歌きっかけで原作本読みたくなる人ちょっと珍しい気がするが…。(映画ならわかる)

 

同期との飲み会の日が近づき、慌てて読破。

後半、ドストエフスキーの名言とかを引用しまくってて、ちょっとなんかドストエフスキーの名言を味わう時間になっちゃってませんか?と思ったりしたが、とても面白かった。もっと若い頃に読んでいたら、もっと深く人格に刺さっていたと思う。高校生とかが課題図書として課されてるのは納得。

人生も人格も自分の認知(主観?)を端緒とするものだよなあと思った。アウシュビッツの監獄の中で愛する妻のことを思って希望を胸に抱くとき、妻が生きてるか死んでるかという事実はもはや関係なかった、という箇所が印象的だった。

この本の心理学領域における学問的価値がなんぼのものなのか分からなかったので、大学院で臨床心理を勉強している友人に「こんど飲む時までに、『夜と霧』を読んできて!」とLINE。

翌々週くらいに飲んだ時、本当に読んできてくれて感想を教えてくれた。広がる『夜と霧』の輪2020。

 

その後無事に、夜霧女と、もう一人の高校同期と3人の飲み会で『夜と霧』の感想を話し合い、さらに有島武郎やら太宰やらなんやらの話もして、大満足だった。夜霧女と会うのは6年?7年?ぶりだったが、当時あまり親しくなかったことも相まって彼女についてはほとんど変化が感じられなかった。変わることなく美しく、相変わらずいかにも利発そうな瞳をきらきらさせていて(じっさい相当に利発)、とても嬉しかった。

 

恋の話がしたい (MARBLE COMICS)

恋の話がしたい (MARBLE COMICS)

 

『夜と霧』を読破した夜、達成感に満ち満ちて、寝る前(明け方)に、積んであった『恋の話がしたい』(ヤマシタトモコ)を読む。表紙にしるされた英語の題は『I want to talk about you』なのだ。

恋の話って、お前の話なんだよ~!なんということでしょう。(ため息)

どうしてもこびりついている好きな人の記憶をたどるシーンで、モノローグが「花火 ブレンド カフェオレ ビール マイセン てのひら まなざし」と続くんだけど「てのひら まなざし」と来たところで「ァァア!」と小声で叫んでベッドからがばっ!と身を起こした。最高すぎて。

 

二度寝で番茶 (双葉文庫)

二度寝で番茶 (双葉文庫)

  • 作者:木皿 泉
  • 発売日: 2013/09/12
  • メディア: 文庫
 
木皿食堂 (双葉文庫)

木皿食堂 (双葉文庫)

  • 作者:木皿 泉
  • 発売日: 2016/05/12
  • メディア: 文庫
 

それからしばらくはゆるい本を読んでいて、ネットでまとめ買いしていた木皿泉のエッセイ『二度寝で番茶』、『木皿食堂』(木皿泉)をだらだらと…。

あ~~こういう「ふたりで喋っているのが本当に楽しくて、いくらでも時間が潰せちゃう」みたいな人と結婚がしたいなあと夢想する。

まあひとまずは、「ふたりで喋っているのが本当に楽しくて、いくらでも時間が潰せちゃう」みたいな友達が何人かいるからいいか…と自分をなだめる。

 

そういえば、「オンザロック」を観るために渋谷のスタバで『木皿食堂』を読みながら友達を待っていたら、友達から「あ、見つけたわ。秋っぽい色のワンピース着てるでしょ」とLINEが来て、その時私が着ていたのはくすんだピンクのシャツにベージュのパンツだったので、LINEを見た時「まあたぶん合ってるんだろうが、秋っぽいかどうかは人によって見方が違うだろうし、あと、ワンピースではないな…」と思った。まあ実際見つかっていたのだが。

 

八本脚の蝶 (河出文庫)

八本脚の蝶 (河出文庫)

 

二十六歳で自死した編集者が、まさに自死する日までの日常を綴った日記本『八本脚の蝶』(二階堂奥歯)を読み進めていく。五百ページほどある分厚い文庫本なのだが、(巻末の知人からの寄稿を除いた)最後のページで死んでしまうのが分かっているので、残りページが少なくなるほどに、彼女がもうすぐ死んでしまう…と暗澹たる気持ちになってくる。

 

無能の鷹(1) (Kissコミックス)

無能の鷹(1) (Kissコミックス)

 

 コメディを挟もう、と思い、遅刻魔の友人を待っていた時に阿佐ヶ谷の書楽で買った『無能の鷹』を読む。初めて自分とほぼ同じ職業の人が出てくるフィクションを読んだかもしれないなと思った。

 

寝る前(例によって明け方)に、『八本脚の蝶』を読み終える。

頭が良すぎるし、感性が豊かすぎる。20代そこそこで、この異様な高解像度で世界を認識していたら、正気を保てるはずがないのでは…と感じる。むろん、彼女の苦しみは彼女だけのものだが。

母にその話をしたら、「ごく稀に、驚くほど早熟な人っているよね。三島とか」と返ってくる。

そういえば、三島が中学生の頃に書いた「花ざかりの森」にも似たような狂気的高解像度を感じた気がする。三島は40歳くらいまでは、生きたけど。

 

イキガミとドナー(上) (onBLUE comics)

イキガミとドナー(上) (onBLUE comics)

 

 それからまた漫画しか読む気になれなくて、『無能の鷹』と一緒に書楽で買った『イキガミとドナー』上巻(山中ヒコ)を読む。

山中ヒコは前に三浦しをんがエッセイでごり押ししていた『500年の営み』がすごく深くて良かった。だいぶ寡作で、だから久々に新作がでるっていうんでわりと話題になっていてずっと買おうか迷ってて…買った。

「国を守る最強戦闘種“イキガミ”と、イキガミ一人一人に割り当てられた“ドナー”。イキガミの傷を癒せるのはドナーの体液(血液・唾液など)のみ」という時点で展開はわりと想像できるような…と思っていたのだが、Twitterで「下巻でめちゃ泣いた」という声を複数見かけたのもあり購入。

が、上巻の時点ではわたしが設定から想像した展開の域を出なかったのと、なよっとした受が横暴な攻(※ただし心に傷を負っており、過酷な運命に翻弄されていて孤独)に秒でほだされているのに滾る性癖が足りなかったので下巻購入は見送った。

くそう、私が横暴な攻(※ただし心に傷を負っており以下略)が好きであればよ…!と歯ぎしりした。だれか下巻貸して。

 

 続けざまに、発売日に文禄堂で買った『紛争でしたら八田まで』(田素弘)の3巻を読む。相変わらず面白いし、勉強になるなあ。ちゃんと地政学の本を読んだ方がもっと勉強になるのは分かっているのだが、それは言わない約束だ。

 

 奥歯ショック(『八本脚の蝶』著者が500ページを経て自死してしまったことによる精神的なショック)から、まだまだハードな本を読む気になれないので、『ダイオウイカは知らないでしょう』(せきしろ西加奈子)を手に取る。

西加奈子せきしろが、互いに専門外の短歌を詠めるようになるべく、毎回ゲストを読んでお題を出してもらい、一生懸命短歌を作るというananの連載を書籍化したもの。

 

めちゃくちゃ笑えるので、電車とか、カフェとかで読みながら「むっふっふ」と声に出して笑ってしまう。マスク必携の1冊だった。マスクの時代で良かった。

ちなみにせきしろ西荻窪ルノアールに入り浸りながら周りの人を観察して書いたというエッセイ本(『去年ルノアールで』)の話が出てきて、「えー面白そうかも…」と思ってググったら、星野源主演で深夜枠の10分×12話の連ドラになってた。

せきしろ西荻ルノアール星野源・深夜ドラマという組み合わせに眩暈がしてブラウザを閉じた。あまりにも、あまりにもだろう!本は買わなかった。

ちなみに、このあいだ星野源が、「初めて一人暮らししたのは阿佐ヶ谷の風呂なしアパート」と言っていたのにも眩暈がした。星野源・阿佐ヶ谷・風呂なしアパート。くらくらする。

ハレルヤ!中央線!

 

A子さんの恋人 7巻 (HARTA COMIX)

A子さんの恋人 7巻 (HARTA COMIX)

 

 …というわけで『A子さんの恋人』(近藤聡乃)の最終巻を読む(舞台が阿佐ヶ谷)。

Twitterであまりにもみんな(島本理生千早茜も)が感じ入っているので、もうどんだけ感動させられてしまうんだろうかとなかば怯えながら開いたのだが。

なるほど、私が感じたのは、広げた風呂敷を、ちゃんと説得的な形で畳んだな、うむうむ、良い漫画であったな、という頷きだけだった。……Twitterではみんな慟哭してるのになぜ…?むしろその温度差で泣きたくなった。

ひょっとすると、自分のアイデンティティが激しく揺らぐような恋愛経験がないせいなの?そうなの?だとしたら、それはそれでなんとなく泣きたいが…

近しい人に対して「私じゃなくてもいいくせに!」みたいに思って死にたくなるやつ、確かに昔わたしも何度か経験したが…えっそんなに多くの人にとって今日も切実な問題なの…?(主題をはき違えている可能性もあり)

 

なんか数年前くらいに「あなたにとっての私は私じゃなくてもいいし、私にとってのあなたもあなたじゃなくてもいい。それでもなお、私とあなたの間の関係性それ自体は唯一無二(たぶん)」と適当に結論付けたことでいろいろとどうでもよくなった。明日死ぬと思って生きてるしな。

 

ところで最果タヒの感想ツイートがめちゃくちゃ名文だった。

「愛情は、相手に捧げたり、相手からもらったりするものではなくて、その人の内側にすでにある何かを、ただ照らしてあげるようなものなのかもしれないなって、『A子さんの恋人』を読んで思った。」

 

うぉー名文…。

あなたにとっての私も、私にとってのあなたも、他の誰かで代替可能だが、それはそれとして、自分が愛する人の「内側にすでにある何か」を照らそうとする行為はこの地球上この社会に実在する何らかのよいもののひとつなんだろうと思う。代替可能であるのはそれはそれとして。

えー、みんななんで泣いてたんだろう。わからない。つらい。泣きたい。めちゃくちゃ好きな漫画なのに、皆と同じ温度で騒げないのがつらい。読んで泣いた方ご連絡ください。詳しく経緯をきかせてほしい。

 

 とか思いながら桜庭一樹読書日記をちくちくと読み進める。

メルカリで買った単行本版の『桜庭一樹読書日記 お好みの本、入荷しました』(桜庭一樹)(サイン本だった!)を読んでいるうちに、Amazon Usedから文庫本の同書が届く。Wow…凡ミス…。まあ良い。文庫版には巻末におまけ対談がついていたし。まあ良い。気にしていないったら。

 

 『酒と恋には酔って然るべき』(はるこ、江口まゆみ)の5巻が出てたので、文禄堂で買って読む。日本酒とそれに合うおつまみを紹介しながら展開するラブコメ漫画。

できるだけたくさんの日本酒とそれに合うおつまみを紹介するためにはしかたがないのだが、今回も、主要な登場人物たちが驚異的に煮え切らないし、のらくらとしていて全然関係性が進展しない。

記憶が定かではないが、体感としては、かなり最初の方で三角関係が成立してから、ここ3巻ほどは煮え切らない人たちがのらくらとしているだけなような…。

それでも、キャラクターと、日本酒とおつまみが魅力的なので新刊が出ると必ず買ってしまう…。実は日本酒、そこまで好きじゃないけど…。

まんまと日本酒が飲みたくなり(そこまで好きじゃないくせに)、一緒にこの漫画を追っている友達に酒恋(※略称)の新刊が出た旨を連絡し、読んでもらい、日本酒を飲みたくなってもらい、飲みの約束を取り付けることに成功した。

久しぶりに青二才に行った。日本酒がそこまで好きじゃないことを思い出した。いや、全然美味しかったけど。

 

赤松とクロ (MARBLE COMICS)

赤松とクロ (MARBLE COMICS)

 

奥歯ショックで、まだしっかりしたものを読む気にならないので、以前どこかで推されているのをみて(雑誌だったような…)ネットで買った『赤松とクロ』(鮎川ハル)を読む。ハッピーなラブコメだった。すごくよかった。

こういう、ぶりっこではなく、ピュアでもないが、人間らしい可愛げに満ち満ちたラブコメはすごく好きだ。

 

薔薇だって書けるよ―売野機子作品集

薔薇だって書けるよ―売野機子作品集

  • 作者:売野 機子
  • 発売日: 2010/03/26
  • メディア: コミック
 

 Twitterで薦めてもらった本たちを勢いのままポチったのが届く。

とりあえず漫画の短編集『薔薇だって書けるよ』(売野機子)から読む。手に取った瞬間、「私選・この装丁が美しい2020」ベスト3に入るほどの美麗なる装丁にしばしうっとり。どちらかというと、画集っぽい雰囲気。

台詞が少なめで、無言のコマが多く、それが魅力的。絵がすごく綺麗で、華やかかつ力強い。

自分では買わないタイプの、でもすごく肉厚?読み応えのあるよい漫画だった。人に薦められたものを勢いで買うのって良いなと思った。

 

本のおかわりもう一冊 (桜庭一樹読書日記)

本のおかわりもう一冊 (桜庭一樹読書日記)

  • 作者:桜庭 一樹
  • 発売日: 2012/09/27
  • メディア: 単行本
 

 同じものを2冊買ってしまったショックのままにAmazon Usedで発注した『桜庭一樹読書日記 本のおかわりもう一冊』(桜庭一樹)が届いたので読み進める。

震災の時のことが書いてあって、胃がきゅっとなる。どういうジャンルの本が読めなくなったか、とか、しばらくしてからどういうジャンルの本を読むようになったか、とか。(軽めのものや、思い切りファンタジーに寄った本しか読めなくなって、そしてしばらくしてから、戦争ものを立て続けに読んでいたらしい)

 

海をあげる (単行本)

海をあげる (単行本)

  • 作者:上間 陽子
  • 発売日: 2020/10/29
  • メディア: 単行本
 

 去年Webちくまに連載していたときから好きで、書籍化を待望していた『海をあげる』(上間陽子)、紀伊國屋のウェブストアで予約していたのが届いたので、その日のうちに読む。

普天間の近くで暮らす社会学者のエッセイ(ちょっとルポ含)。

寝転がって読む気にはなれないので、電気ストーブで爪先を炙りながら、フローリングに座布団を置いて、体育座りで読む。怒りと悲しみが、やわらかく美しい平易な文章でどんどん流れ込んでくる。疲れた。こういうのは読むと病む。でも、読み物としての、文章がうますぎて、読みたくなってしまう。

沖縄研究の学術的価値としてどうなのかは分からないな…と思う。でもとにかく、この文体が好きだ。

 

夜更け(というか明け方)に『海をあげる』を読み終えて、怒りと悲しみでたぷたぷに浸されたので、気分を変えようと思って、『薔薇の瞳は爆弾』(ヤマシタトモコ)を読んで、寝た。

ヤマシタトモコの初期の作品集をまとめ買いしたやつを全部読み終わってしまった。

魂が「好き!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」と叫ぶドラマ(9月の読書月記)

9月。
先月末あたりから猛烈な木皿泉ブームが吹き荒れ、ほとんどずっと木皿泉のことを考えていた。
木皿泉(夫婦二人組の脚本家)のことはもともと、脚本家の中では一番好きなのだが、なぜ今なんどめかの波が来たのかというと、夏の終わりにかけてふと「すいか」というドラマ(2003夏クール。小3当時見ていたおぼろげな記憶はあるが内容ほぼ忘れてた)を思い出したから。
夏が終わる前に、hulu(のみで配信されている)の無料登録期間(2週間)で一気見をしようではないかと思って…。
観始めたらもう……おもしろくておもしろくて…というか、もはやおもしろいおもしろくないをはるかに超越して、魂が「好き!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」と叫ぶ、みたいな、そういうドラマだった。
個性的なキャラクター・ユーモア・おいしいごはん・血縁や恋愛感情に頼らない緩やかな連帯と共同生活、群像劇・あくまで日常を切り取った起伏のない展開、エトセトラエトセトラ、好きな要素はいろいろあるのだけどもう、久しぶりに観終わりたくなくて泣きそうになった。無料期間に2周見た。
その上で、観終わりたくなさ過ぎて、並行でこちらも観てた気もするがもはや記憶がおぼろげだった同脚本家のドラマ「昨夜のカレー、明日のパン」(たしか2013)を観ていた。こっちは主人公(若くして夫が病死)とその義父、その周りの人々の暮らしとごはんを丁寧に描いたドラマ。
こっちもすごい良かったんだけど、これは主人公の夫の不在(死んだという事実)がずーっと全話通して通奏低音として色濃く描かれているので、けっこう悲しかった…。前向きな話だったけど、最後にハッピーエンドを迎えてもなお、自分の中には普通に悲しみの方が勝った。近しい人がいなくなるのって普通にめちゃくちゃ悲しいからな……。

木皿泉の作品ってすごいユーモラスだし優しいタッチなんだけど、いつも何かを失うということ(それは死別であったり、自己のあやまちであったり、過去それ自体であったりする)の決定的な不可逆性と、そこに生まれる悲しみや痛みを描いていると思う。
「すいか」ので馬場ちゃんは三億円盗んで素子と決定的に人生を分かつし、絆ちゃんは死んだお姉ちゃんとは二度と会えない。「セクシーボイスアンドロボ」でニコとロボは、ある時を境になんとなく別れて、それから二度と会わなくなる。「Q10」で平太はQ10のリセットボタンを押すし、「野ブタ。をプロデュース」で野ブタ修二と彰が過ごしたすばらしいっぽい時間はたった一度きりで二度と戻らない。
木皿作品に描かれている、そういう類の絶対的な取り返しのつかなさは誰にとっても身近なもので、切実に胸を締め付けるものだと思う。
でも、それでも、ちゃんと毎日ごはんを食べて、眠り、できれば周りの人に少しだけやさしく、淡々と日々を暮らすことで、つかのま温かさを感じたり、心が救われたりする(かもしれない)し、少なくとも生きていくというのはそれでいいんだと肯定してくれる大らかさもあるから、その懐の広さに安堵して泣いてしまう。ような気がする。メンヘラなので?

 

 

MO’SOME STING (クロフネコミックス)

MO’SOME STING (クロフネコミックス)

 

ヤマシタトモコ 『MO‘SOME STING
先月買い込んだやつのうちの一冊。BLなのに主人公が女子高生っていう斬新なやつ。普通に良かったけど893が出てくるので結構本格的に暴力だった。チャイニーズインテリマフィア的なキャラが出てきて興奮した。

 

昨夜のカレー、明日のパン (河出文庫)

昨夜のカレー、明日のパン (河出文庫)

 

木皿泉 『昨夜のカレー、明日のパン』
ドラマを見てるうちに原作を読み返したくなって、仕事を放り出して自転車かっ飛ばして本屋でこれ買って、焼き立ての食パン買って帰ってきた。
ドラマとけっこう話違うやん。どっちも良かったけど、こっちのほうが存外いろいろと明示的に書いてあったような。。

 

保健室のアン・ウニョン先生 (チョン・セランの本 1)

保健室のアン・ウニョン先生 (チョン・セランの本 1)

 

チョン・セラン 『保健室のアン・ウニョン先生』
大好きチョンセラン~!
クレイジーアウトロー・ポリコレ・ラブコメみたいな…最高では?こんな小説ある日本に?あったら教えてください(欲しいので)。
ネトフリ限定でドラマ化もされてる(これはまあ普通だった)。
「どうせいつか負けることになってるんです。親切な人たちが悪人に勝ちつづけるなんて、どうやったらできますか。絶対に勝てないことも親切さの一部なんだから、いいんです。負けてもいいんです。それが今回だとしても大丈夫。逃げよう。だめだと思ったら逃げよう。後でまた、どうにかできる。」
インピョ先生のめっちゃ好きな台詞~~~~!!!

なに?本当のこと言うのずるくない?

それでさいごウニョン先生のがさがさの唇にキスするの!最高!!!

 

SP  警視庁警備部警護課第四係 (角川文庫)

SP 警視庁警備部警護課第四係 (角川文庫)

 

金城一紀 『SP』(シナリオ本)
たぶん8月にCRISISを観ていたせいで、早急に金城一紀成分を吸いたくなり文庫版を購入。実家に単行本あるけど。
注記が面白いのよね……元ネタの映画が書いてあったり、撮影方法の豆知識とか。

 

ヤマシタトモコ 『さんかく窓の外側は夜』 ⑨
なかなか核心にたどり着かんなあ!(たどり着いたら終わっちゃうが)
映画化ちゃんとうまくいってるかすごい心配。

 

木皿泉〜しあわせのカタチ〜DVDブック

木皿泉〜しあわせのカタチ〜DVDブック

  • 作者:木皿 泉
  • 発売日: 2015/11/30
  • メディア: 大型本
 

木皿泉 『木皿泉 ~しあわせのカタチ~ DVDブック』
木皿泉キャンペーンの一環。対談とかを納めた本と、ドキュメンタリー映像のDVDのセット。
ファン垂涎とはこのことですな。すばらしい生活の姿が映っていたよ…はあ。こういう結婚がしたい。

 

阿部知二ほか 『犬』
クラフトエヴィング商会が編んだ、犬が出てくる短編集。幸田文とか川端とか。
昔はそうだよね、野良犬がいたよね。あと、イマドキの犬の方が童顔でかわいいよね。

 

田島列島 『水は海に向かって流れる』 ③
完結してしまったー。最高の人生にしようぜ!っていう話でした。私もそう思います。
田島列島、説明しない勇気がすごい。それでちゃんと売れてるから凄い。

 

きえもの日記

きえもの日記

  • 作者:高山 なおみ
  • 発売日: 2015/04/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

高山なおみ 『きえもの日記』
木皿泉キャンペーンの一環。「昨夜のカレー、明日のパン」の消えもの(食べ物)監修をした料理研究家の日記本。レシピ付き。
ていねいな暮らし的文章は苦手分野なので半目で読破。
おいしそうな手料理が沢山出てくる本を読んだ後あるあるで無事に自炊欲が刺激されたので、仲のいい先輩を家に招いてむりやり手料理を食べさせた。
献立:餃子・茄子の揚げびたし・五目ひじき・ラタトゥイユ・春菊、トマト、牛肉のエスニックスープ。

 

恋の心に黒い羽 (MARBLE COMICS)

恋の心に黒い羽 (MARBLE COMICS)

 

 ヤマシタトモコ 『恋の心に黒い羽』
これも先月買い込んだやつのうちの一冊。
恋の心を黒い羽に喩える~~~~~~!?!?天才!!!!!

 

藤緒あい 『誰かのことをすきなだけ』 ①
好きな漫画家さんなんだけど新刊買ってなかったなーと思い購入。
この人の絵と文章の感じ、あとテンションが好きだから普通に面白く読んでいるけど、いつも10%くらいSFなのが面白いんだが今回はそれがなくて、今のところ普通にリアルなチャラいタラシ美容師に人生狂わされる哀れな主人公がかわいそうすぎて見ていられない。見てるけど。

 

 桜庭一樹 『書店はタイムマシーン』
「え、桜庭一樹の読書日記シリーズ絶版なの!?!?やばいっっ時々読みたくなるから急いで中古で買い集めないと!!!!」キャンペーン。初めて読んだのは高校の頃だったと思うが今も全然色褪せず面白い。

たしか既刊は5冊くらいあったはずなんだが、1巻とか2巻とか通し番号がついてないから、メルカリで単行本を発注した後にうっかりAmazonで文庫も発注してしまった…

まあいいけど。単行本の方はなぜかサイン本だったし。

 

田村由美 『ミステリと言う勿れ』 ⑦
いつ読んでも冬感ある。主人公の髪の毛がアフロでもふもふだからか?
だんだん全巻通しての謎が何だっだか忘れ始めたから読み返さないとな…。

 

ぶどうとスミレ 2 (マーガレットコミックス)

ぶどうとスミレ 2 (マーガレットコミックス)

  • 作者:持田 あき
  • 発売日: 2020/09/25
  • メディア: コミック
 

持田あき 『ぶとうとスミレ』 ②
一巻めっちゃ良かったから期待して買ったらなんか…うん、それはそう。私もそう思います。
みたいな事項が羅列されて終わってしまった…。が、まあ良い。絵が好きなので。主人公の女の子の名前が「みなと」なのが良い。かわいい。

メタファーと死と祭(8月の読書月記)

8月。

映画は6つ観た(うち、映画館で観たのは5つ)。

・「ストーリー・オブ・マイライフ」

→おもしろかった。私も小さいころ若草物語を愛読していたら、もう少し滅私的な愛に生きるマインドが育ってたのかしら、とがっかりした。

・「アルプススタンドのはしの方」

→おもしろかった。でも、伏線からの伏線回収は、無くても良かったな…。私の趣味だが。

・「僕の好きな女の子」

→すごくおもしろかった。主役ふたり(奈緒渡辺大地)が言い合ってるところを一生みていたいと思った。渡辺大地の渡辺大地みを最大限に享受できる最高の渡辺大地映画。

・「退屈な日々にさようならを」(DVD)

→すごく面白かった。恋人が目の前で自殺した松本まりかが、恋人の故郷である福島(原発事故後の文脈の福島)を訪れる話。ちょうど、某アミューズ俳優が亡くなった直後に観たので、老いて病気で、とかでなく人がいきなり死ぬというのがどんな感じか、についていろんなことを考えた。日常や生活というのは淡々としている。その集積たる人生が、老いを待たずに、ぶつりと途切れる瞬間。その静かで無邪気であっけないこと。やるせないこと。

・「ブックスマート」

→かなりおもしろかった(たぶん)。新しい薬を飲み始めたばかりで、副作用で異常に眠く、かなり派手な映画だったのに寝てしまった(不覚)。

・「ようこそ映画音響の世界へ」

→めちゃくちゃ面白かった。映画か音楽が好きなら、全員好きなはず。

 

 よく一緒に映画を観に行く、映画やアニメに詳しい友人と、最近、諸エンタメコンテンツについて、メタファー等の種明かしとその解説が流行りすぎてないか?という話になった。

 具体的には、映画やドラマだと、「この台詞、実はあの台詞と対になってる!」とか、「このシーンの端に移っているローソクは、〇〇を表している!」とかそういう演出や構成に関しての解説ツイートがバズり、「こんな仕掛けがあるとは!なんてすごい作品なんだ」みたいな盛り上がりを見せる。

 音楽だと、関ジャムみたいな番組が流行ってて、作者が凝らした工夫(特にコード進行とかピッチとかブレスの仕方とかの技術的な部分)を取り上げ、客観的に「この曲はなぜ優れているか」を解説する。

 

 …いや、いいんだけど、受け手の主観は??????

 

 どんなにメタファーに富んだ作品だと知っても、別に私には響かない作品もあるし、メタファーに全然気づかなくても、すごく刺さる作品もある。それでいいことにしてくれ…。優れた作品であることを示す客観的な論拠で殴りかかってこないで。

 なんかもう、メタファーや工夫の多さでマウント取るようなニュアンスのツイートとかネット記事とか見たくない…。私個人の意見ですけど…。

 時を同じくして星野源にハマった。それで曲名を調べてみると、彼はラジオ番組を持ってたりするのもあって、ゲン氏が作曲で凝らした意匠や、歌詞の意味(作者の意図)がネットにがんがん出ている。

 まあ、誤解されて色々言われることに辟易して、積極的に公式解釈を出すことにしているのかなとも思うのだが。アップルミュージックには、公式動画で「『アイデア』の歌詞の要点を解説」とかいうのが出てくる。要点を…解説…そうかい…要(かなめ)を…自ら…へえ…。

 こういうのを目にすると、受け手に対する信頼のなさを感じて悲しい。お前ら、説明してやらないと間違えるだろ?どーせ分かんないだろ?みたいな…私は性格が歪んでいるので…。

 

 ちなみにこの議論をした友達は、「演出もメタファーも作り手の趣味なんだからさ…」と一蹴していた。被害妄想でキーキー嘆く私とは大違いだった。お見事。

 

眉月じゅん 『九龍ジェネリックロマンス』 ②

待ちに待った新刊!相変わらず九龍の風景がたまらなく魅力的で、食べ物がアツアツで、人間が生臭い。

限りなく映画的で、しかし映画よりももっと立体的に匂い立つ数々のシーンよ!

まああんまり性別の話をしたくはないが、どっちかというと青年漫画の文法かなあと思って、周りの青年に薦めまくっているがみんなハマっていく。しめしめ。しめしめしめ…(某青年に貸したのがまだ返ってきていない)

 

スピン

スピン

 

ティリー・ウォルデン 『スピン』

三越前の誠品生活で、初めて売っているところを見かけたので購入。綾瀬まるが薦めてたんだっけな…。

レズビアンの少女が、外界とのチューニングが合わなくてずっっっっとイライラしてる漫画。ヒリヒリしておもしろかった。

海外の作者の漫画(コミック)って初めて読んだけど、やっぱりちょっと味わいが違うような気がした。漫画的というよりは、絵本的?そういえばタンタンの冒険とかも海外のコミックか。

 

ヤマシタトモコ 『違国日記』 ⑥

今いちばん好きな漫画の最新刊!!!

この日は仕事が忙しくて、4時半くらいまで資料を作っていたんだが、その日発売だったこれを読むためだけに昼間わざわざ本屋行って、寝る前(朝5時)によだれ垂らしながら読んだ。

なんか生まれてから25年くらい(厳密には26年になりました)経つとだいぶ多様性が出てくるのか、同じ年齢の人でも何を「良し」とするかが全然違っててビビる経験が増えてきた。

それに対して、去年くらいまでは私が「良し」としないものを「良し」とする人を見るたびにムカついてた気がする。それで今年に入ったくらいから、「あの人と私は、戦ってるゲームが違うんだな。見えてる世界もルールも勝ち負けの基準も違うんだよな。」と思うようになってムカつかなくなった。でも今は、ゲームが違っても一緒に遊ぼうよって言える人になりたいけど、どうすればいいのかなと思っている。どうすればいいのか、こういう話を読みながら考えたいと思っている。

漫画をめっちゃ沢山読んでいる出版社勤務の同級生は、この漫画を「他人を『わかる』と軽々しく言わない人たちに夜、それでも愚直に他人に近づこうとする営み」の話だと言っていた。秀逸なサマリ!!!

私はこういうのは、曖昧なものを曖昧なままに描き出そうとする話(私はそういう話が好き)だと思う。曖昧なサマリ…。

 

サラウンド (1) (トーチコミックス)

サラウンド (1) (トーチコミックス)

 

 紺津名子 『サラウンド』 ①

MIU404にハマったせいで、「男性が男性しかいない空間でバカやってる様子」に飢えてとにかくそういうコンテンツが欲しくなって買った。

しかもこれは、女性が描く「男性が男性しかいない空間でバカやってる様子」ですからね。最高の妄想。こんなんなんぼあってもいいですからね。

 

 オジロマコト 『君は放課後インソムニア』 ④

人気のない田舎のバス停で不意打ちキスすんな!!!!!!!!!心臓に悪い!!!!!!!

死に至る胸キュン!!!!!!!!!!!

私がごり押ししたがために一緒に読んでくれている漫画好きの先輩は、「バス停のシーン3回読み直した」と言っていた。静かな興奮が伝わってきた。

 

ヤマシタトモコ 『ストロボスコープ』

違国日記が良すぎて、とにかくなんでもいいからヤマシタトモコを摂取したい…あと、MIU404で腐の波が来て、BL漫画読みたい~~~と思って、実家に帰ったタイミングで読み返した。

料理上手な攻、愛を信じないスれた受というのはテッパンなんだなと思った。

ヤマシタトモコは最高だよ…。BL祭スタート。

 

大きなハードルと小さなハードル (河出文庫)

大きなハードルと小さなハードル (河出文庫)

  • 作者:佐藤 泰志
  • 発売日: 2011/06/04
  • メディア: 文庫
 

佐藤泰志 『大きなハードルと小さなハードル』

MIU404からの綾野剛ブームからのそこのみにて光り輝くからの佐藤泰志からの誠品書店で観たことない短編集見かけて購入。だったと思う。ものすごく面白くて、読みながら「お、おもしれ~~~~~」と声に出た。@実家のソファの上

 

猪ノ谷言葉 『ランウェイで笑って』 ⑰

相変わらず育人くんが強すぎて秒で敵がすっ飛ぶ。一冊10分で読み終えてしまうんですけど…。

 

あがない

あがない

  • 作者:茂, 倉数
  • 発売日: 2020/06/26
  • メディア: 単行本
 

 倉数茂 『あがない』

佐藤泰志が良すぎて、なんかこうアンニュイな文章が読みたいわ…と思い、綾瀬まるがTwitterで薦めてた(気がする)小説を購入。薬物と死体埋めの記憶。

ものすごく陰惨なものが水面下にいるんだが、ずっとうたた寝できれいな悪夢を見てるみたいな現実離れした不穏な空気。好きな小説だった。

 

コーポ・ア・コーポ (1) (MeDu COMICS)

コーポ・ア・コーポ (1) (MeDu COMICS)

 

 岩浪れんじ 『コーポ・ア・コーポ』 ①

ひたすらいろんな書店に平積みされてて、いろんな人が薦めているのも知っていて、それで逆に意地になって読んでなかったやつ(『マイブロークンマリコ』現象)。

もうこの現象には、ここで終止符を打とう。どうせ面白いんだから。時間の問題なんだから、もうやめよう。

これはマイブロークンマリコをもうちょいダークにした感じの手ざわりで、ブラックジョークが効いててすごくよいです。短編集なんだけど、巻末にそれぞれBGMが書いてあるのもよい。ヤマシタトモコの短編集もそう(またヤマシタトモコの話)。

 

 よしながふみ 『きのう何食べた?』 ⑰

シロさんのスパダリ度が増してない?

 

くいもの処 明楽 (MARBLE COMICS)

くいもの処 明楽 (MARBLE COMICS)

 

 ヤマシタトモコ 『くいもの処明楽』

実家から帰ってきて、とにかく読んだことのないヤマシタトモコを摂取したくて、気づいたら指が勝手に…(Kindleを購入)。怒涛のBLキャンペーン幕開け。

「あっ紙で欲し、(かったのに)」と思った時にはもう遅かった。Kindleって、購入完了後の第一画面で購入キャンセルができるんだけど、そこからいちどでも画面遷移しちゃうともうキャンセルできないのね。学びました。いや、ぜんぜんいいですよ、勉強料。めちゃくちゃ良かったし、漫画。うんうん。紙でもう一度買ってもいいし。うんうん。

表題作も良かったんですけど、同時収録の短編で、すごいセクシーな年上の攻が「おれ遊びとかキョーミないし」とか言いつつ受にちょっかいだして、それで受が「遊ばないんじゃなかったの?」って言うと「すこしあそぶ」って言い返したのが良かった!!!

「すこし」っていう言葉好き。語感も意味も好き。かわいいしえろい。

 

田島列島 『田島列島短編集 ごあいさつ』

『水は海に向かって流れる』が良すぎて、実家にあったこれを下宿に連れ帰ってきた。

姉が不倫していた男の妻が家に「ごあいさつ」に来るという表題作が一番良かった。

曖昧なものを…(以下略)(また言ってる)な作品は好き。

 

パリの砂漠、東京の蜃気楼 (ホーム社)

パリの砂漠、東京の蜃気楼 (ホーム社)

 

金原ひとみ 『パリの砂漠、東京の蜃気楼』

佐藤泰志→『あがない』の流れで、暗い文章が読みたいなあと思って、読むたびかなり暗澹たる気持ちになるこのエッセイを読んだ。まじで病む。もらい病みの極み。

口ピ(唇につけるピアス)を空けるのに失敗して流血し、おおむね血が止まったあと外で友達とワインを煽る、みたいなのがすごいローテンションの文章でつづられておりかなり暗い気持ちになる。

どんなにうきうきしたテンションの時でもこれを読めば暗澹たる気持ちになれると思う。

ほとんどのエッセイで肯定的に書かれている事柄に対して、こっちが気まずくなるほど冷めた目を向けている。太陽光は暴力的で、食べ物は胃の調子を悪くして、友達との会話がうすら寒い。

 

ヤマシタトモコ 『スニップ、スネイル&ドックテイル』

ヤマシタトモコBL祭り開催。(手元に無かったヤマシタトモコのBL漫画をネットでまとめて注文)

料理上手な攻!(好きだ)

装丁も好き。時系列が行き来する精緻な構造も良い。タイトルも良い。おしゃれすぎ。天才の所業。

大人が人のことを(恋愛的に)好きだということの気まずさ、恥ずかしさ情けなさみたいなのを大切に掬い上げていてとても良かった。

 

 ヤマシタトモコ 『ジュテーム・カフェ・ノワール 新装版』

まだ祭っている。

これは短編集。タイトルが全部イケてて本当に嫌になるくらい好き…

一個一個もすきだし、並んだ時のバランスも好き。

・LA CAMPANELLA(ラ・カンパネラ)

・SATURDAY, BOY, PHENOMENON(サタデー, ボーイ, フェノミナン)

・THE SPELL OF LOVE(こいのじゅもんは)

・CU, CLAU, COME(食・喰・噛)

・JE T'AIME, CAFE NOIR(ジュテーム、カフェ・ノワール

・A WIZARD'S PUPIL(魔法使いの弟子

・ONCE UPON A TIME IN TOKYO(ワンス アポン ア タイム イン トーキョー)

二つ目とか天才では?

最後の話は京浜急行が出てくる!!!!ディテールにいちいち沸いた(私が)。

 

奥さまは愛国 (河出文庫)

奥さまは愛国 (河出文庫)

 

 北原みのり、朴順梨 『奥さまは愛国』

いわゆる、愛国団体にいる女性たちを取材して、どういうきっかけで、どういうモチベーションでデモや定期集会に参加しているかを取材した本。

自粛期間になってから動かし始めたTwitterの趣味アカウント(ジャニーズとか趣味の情報を集めている)で、画像の無断転載などを激しく断罪(ルールを啓蒙、とかではなく糾弾し激昂)している人たちを目にし、ジャニオタをやっている友達とああいう顔の見えない相手に対する激しい怒りのエネルギーはどこから?という話に。

それでこの本を読んでみた。知り合いじゃない人にすごい熱量で怒ってる人たちのこと理解できるかなって…

特に理解は出来なかったが、勉強になった。

著者が靖国神社に併設されている記念館を訪れ、特攻直前の兵士が家族宛に書いた手紙を読んで、東京2020を前に、「私たちは感動に飢えているのかなあ」と思った、というところを読んでかなり暗澹たる気持ちになった。

 

綾瀬まる 『暗い夜、星を数えて』

「退屈な日々にさようならを」→震災

MIU404→綾野剛ブーム→空飛ぶ広報室の最終回(onアマプラ)→震災

という流れで、綾瀬まるは好きなんだけど、暗い気持ちになりそうだからずっと避けていたこれをついに購入。

東北旅行の道中で被災し、たまたま居合わせた現地の人の家に身を寄せながら、無事生き延びた著者のルポタージュ。

意を決して読んだ。思ったより病む感じではなかった。でも、「退屈な日々に~」と同じで、日常がぶつりと途切れる様が丁寧に描かれていて、なんか酸素が薄くなるような心持ちがした。

震災後、ボランティアに訪れた福島で、現地の人から、指定汚染地域の外で生産された玉ねぎを渡され、笑顔で受け取り、悩んだ末、結局食べられなかったという話が印象的だった。そうだよなあ。そうだったよなあ。

震災から数か月後、通ってた高校の礼拝で、その日の説教担当だった日本史の先生が、「私は震災の後、公園で子供を遊ばせてしまったんです」と言って泣き出したことを思い出した。もっとしっかり原発事故のことを勉強していれば、あんなこと絶対させなかったのにと泣いていた。私は冷たい人間なので、泣いてどうする、ここで懺悔されても、と思ったが…。

それは私が当時、本当には選択を迫られていなかったということなんだろうか。

 

YES IT’S ME (MARBLE COMICS)

YES IT’S ME (MARBLE COMICS)

 

ヤマシタトモコ 『Yes, it’s me』

とりあえず明るい気持ちになろうと思って祭本を引き続き。

これも短編のタイトルが良くて、とくに「目蓋の裏にて恋は踊りき」というタイトルが好きだった。巻末おまけで短く続編があって、そのタイトルが「胸の裏にて心は踊りき」ていうのも良い。あ~~~良い。

食材を栄養素としてしか見られない(7月の読書月記)

7月。もはや記憶がおぼろげだが、映画は5本観たらしい。
「はちどり」が良かった。思えば、今年観て良かった映画をいくつか挙げよと言われると「スウィング・キッズ」「エクストリーム・ジョブ」「はちどり」とすべて韓国の映画だ。凄い。

あとは、ダイエットのために「あすけん」というアプリの有料会員になり、食べたものを登録してカロリーと栄養素を管理する…というのをやっていた。やりはじめると結構楽しいものだが、もはや食べ物のことを栄養素としてしか見られなくなり、牛乳を飲めば「タンパク質と脂質…」、きのこを食べれば「食物繊維…」と思うようになった。
土日や、友達と約束があるときは好きなものを食べるというルールのもと、平日は栄養素管理を実施したところ、1.5カ月で約1キロほど痩せたのでたぶん結構いい感じだと思う。

しょうゆさしの食いしん本 (芳文社コミックス)

しょうゆさしの食いしん本 (芳文社コミックス)

 

スケラッコ 『しょうゆさしの食いしん本』、『しょうゆさしの食いしん本スペシャル』
最近いちばん参考になったレシピ本!これに出てきた平はるさめがおいしそうすぎて二駅隣の業務スーパーまで買いに行った。平はるさめ美味しいよ~~~
他に出てきたレシピも、紹介されてた京都のレストランも全部おいしそうでまじで最高にお腹すくし京都行きたくなった。京都行きたい。夏の京都は暑すぎるから全然行けないけど。

 

高野雀 『しょうもないのうりょく』
高野雀が好きなので買った。ギャグマンガ。ローテンション。病院の待合室で読みたい感じ。
2巻も買うぜ。

 

時空異邦人KYOKO 1 (集英社文庫(コミック版))

時空異邦人KYOKO 1 (集英社文庫(コミック版))

  • 作者:種村 有菜
  • 発売日: 2014/09/18
  • メディア: 文庫
 

種村有菜 『時空異邦人KYOKO①~②』
捨てるか迷って、面白かったら捨てないどこうと思って夜を徹して読んだ。面白かったので捨てなかった。初めて読んだのは小学2年生くらいの時、友達の家の廊下(廊下に本棚があったのだ)。15年?16年?経っても色褪せない名作。特に絵柄も古いと思わなかったしなーすご。
一人一人の異邦人の設定の細かさが異常。種村有菜ってほんとすごいと思った。

 

阿佐ヶ谷姉妹 『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』
これ最高。平和そのもの。ただ平和に暮らすということ、食べる、寝る、働くというのを淡々と実施する日常をちゃんと愛すことって良いなあと思えるエッセイ。こういうのは時々思い出した方がいいから、定期的に読み返したい。

 

落語家のもの覚え (ちくま文庫)

落語家のもの覚え (ちくま文庫)

 

立川談四楼 『落語家のもの覚え』
仕事で2h×5コマのプレゼンを3回ずつやらねばならず、「話すこと覚えきれねえよ…どうすれば」と思い血迷って購入。
苦労して覚えた噺はなかなか忘れないけど、すっと覚えた噺は意外とすっと忘れちゃうみたいな話、あと落語家のマナーとか。特にプレゼンに生かされることはなかった…。落語家のマナーとか、前座~二つ目の暮らしぶりについてはまあもう超トラディショナルな感じで昨今のご時世とか言い出したらアレな感じですけどまあ普通に面白かった。

 

横槍メンゴ 『一生好きってゆったじゃん』
最近読んだ中で一番秀逸な短編集だった…
ブラックユーモアがきいてるし、痛いところを確実に突いてくるので誰にでも薦められるわけじゃないが、「し、真理…!」と思うようなメッセージがいくつか含まれており、絵柄も美麗で非常に良かった…。
何より女の子がめちゃくちゃ可愛い。すごく可愛い。最高。

 

オジロマコト 『君は放課後インソムニア』①~③
能登の高校。友達以上恋人未満。廃部寸前の天文部。二人きりのラジオ放送。最高の夏。
ピュアすぎて、尊すぎて、最高の夏~~~~!
まじで尊すぎて死んじゃいそうになり、漫画好きの知り合いに無理やり薦めた挙句、「尊死」って何回もLINEした。迷惑。最新刊が8月に出たけど、それ読んだ時も「尊死」ってLINEした。迷惑。

 

田島列島 『水は海に向かって流れる』①~②
あらゆる雑誌やメディアでおすすめされており、「え~そんなに良いの~?」って思って何度本屋で平積みされているのを見てもスルーしていたんだが、根負けして購入。そしたら実家の母も購入していてまさかの重複。田島列島氏に貢ぐ親子となった。
ローテンションユーモア切なあったか話。家族でも友人でもないコミュニティの話と、はたから見たら何も起きていないんだけれども本人にとっては特別な出来事が起きてる話が大好物なのでとても良かった。

 

恋と国会(1) (ビッグコミックス)

恋と国会(1) (ビッグコミックス)

 

西炯子 『恋と国会』
現代日本政治を一応専攻していたはず(もはや記憶が定かではないが)だし久しぶりに読むか~西炯子と思って購入。現代日本政治を専攻していたはずなのに初めて知る知識が大量にあるのはなぜ?なぜなの…?

 

ホーリータウン (モーニングコミックス)

ホーリータウン (モーニングコミックス)

 

宮崎夏次系 『ホーリータウン』
ヴィレヴァンジャケ買い。たまにはこういうシュール系も・・と思い。この作者のをあと3冊くらい読まないと読み方を理解できないなと言う結論に至った。はやく土日もまんがパーク開けてくれ。

 

レヴォリューション No.3 (角川文庫)

レヴォリューション No.3 (角川文庫)

  • 作者:金城 一紀
  • 発売日: 2008/09/25
  • メディア: 文庫
 

金城一紀 『レヴォリューションNo.3』
中学の時のバイブルを久々に再読。映画「スウィング・キッズ」を観て国籍とアイデンティティな~と思い読み返した。相変わらずとても良かった。アウトローの方がかっこよくて社会に順応して飼い殺されてるやつのほうがだせえみたいな価値観はここで形成されてる気がする…。まともに会社員やっちゃってる私…恥。

 

よみがえる変態 (文春文庫)

よみがえる変態 (文春文庫)

 
そして生活はつづく (文春文庫)

そして生活はつづく (文春文庫)

  • 作者:星野 源
  • 発売日: 2013/01/04
  • メディア: 文庫
 

星野源 『よみがえる変態』、『そして生活はつづく』
8~13年前くらいの星野源。ユニットバスを使う星野源、夜中のデニーズで原稿を書く星野源、コインランドリーの上のアパートに住んでいる星野源、コインランドリーで洗濯して服を取り込もうとしたら知らん人のブラジャーが一緒に洗濯されてて愕然とする星野源…。
あとがきに去年の星野源が、「誰だおまえは」って書いてた。

 

壇蜜 『結婚してみることにした。 壇蜜ダイアリー2』
サウナとプールにチャリンコで通い詰めて、毎日日記をつけて、壇蜜氏はすごい「暮らしてる」感があって好き。いつの間にかペットめっちゃ増えてて笑ったけど。