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魂が「好き!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」と叫ぶドラマ(9月の読書月記)

9月。
先月末あたりから猛烈な木皿泉ブームが吹き荒れ、ほとんどずっと木皿泉のことを考えていた。
木皿泉(夫婦二人組の脚本家)のことはもともと、脚本家の中では一番好きなのだが、なぜ今なんどめかの波が来たのかというと、夏の終わりにかけてふと「すいか」というドラマ(2003夏クール。小3当時見ていたおぼろげな記憶はあるが内容ほぼ忘れてた)を思い出したから。
夏が終わる前に、hulu(のみで配信されている)の無料登録期間(2週間)で一気見をしようではないかと思って…。
観始めたらもう……おもしろくておもしろくて…というか、もはやおもしろいおもしろくないをはるかに超越して、魂が「好き!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」と叫ぶ、みたいな、そういうドラマだった。
個性的なキャラクター・ユーモア・おいしいごはん・血縁や恋愛感情に頼らない緩やかな連帯と共同生活、群像劇・あくまで日常を切り取った起伏のない展開、エトセトラエトセトラ、好きな要素はいろいろあるのだけどもう、久しぶりに観終わりたくなくて泣きそうになった。無料期間に2周見た。
その上で、観終わりたくなさ過ぎて、並行でこちらも観てた気もするがもはや記憶がおぼろげだった同脚本家のドラマ「昨夜のカレー、明日のパン」(たしか2013)を観ていた。こっちは主人公(若くして夫が病死)とその義父、その周りの人々の暮らしとごはんを丁寧に描いたドラマ。
こっちもすごい良かったんだけど、これは主人公の夫の不在(死んだという事実)がずーっと全話通して通奏低音として色濃く描かれているので、けっこう悲しかった…。前向きな話だったけど、最後にハッピーエンドを迎えてもなお、自分の中には普通に悲しみの方が勝った。近しい人がいなくなるのって普通にめちゃくちゃ悲しいからな……。

木皿泉の作品ってすごいユーモラスだし優しいタッチなんだけど、いつも何かを失うということ(それは死別であったり、自己のあやまちであったり、過去それ自体であったりする)の決定的な不可逆性と、そこに生まれる悲しみや痛みを描いていると思う。
「すいか」ので馬場ちゃんは三億円盗んで素子と決定的に人生を分かつし、絆ちゃんは死んだお姉ちゃんとは二度と会えない。「セクシーボイスアンドロボ」でニコとロボは、ある時を境になんとなく別れて、それから二度と会わなくなる。「Q10」で平太はQ10のリセットボタンを押すし、「野ブタ。をプロデュース」で野ブタ修二と彰が過ごしたすばらしいっぽい時間はたった一度きりで二度と戻らない。
木皿作品に描かれている、そういう類の絶対的な取り返しのつかなさは誰にとっても身近なもので、切実に胸を締め付けるものだと思う。
でも、それでも、ちゃんと毎日ごはんを食べて、眠り、できれば周りの人に少しだけやさしく、淡々と日々を暮らすことで、つかのま温かさを感じたり、心が救われたりする(かもしれない)し、少なくとも生きていくというのはそれでいいんだと肯定してくれる大らかさもあるから、その懐の広さに安堵して泣いてしまう。ような気がする。メンヘラなので?

 

 

MO’SOME STING (クロフネコミックス)

MO’SOME STING (クロフネコミックス)

 

ヤマシタトモコ 『MO‘SOME STING
先月買い込んだやつのうちの一冊。BLなのに主人公が女子高生っていう斬新なやつ。普通に良かったけど893が出てくるので結構本格的に暴力だった。チャイニーズインテリマフィア的なキャラが出てきて興奮した。

 

昨夜のカレー、明日のパン (河出文庫)

昨夜のカレー、明日のパン (河出文庫)

 

木皿泉 『昨夜のカレー、明日のパン』
ドラマを見てるうちに原作を読み返したくなって、仕事を放り出して自転車かっ飛ばして本屋でこれ買って、焼き立ての食パン買って帰ってきた。
ドラマとけっこう話違うやん。どっちも良かったけど、こっちのほうが存外いろいろと明示的に書いてあったような。。

 

保健室のアン・ウニョン先生 (チョン・セランの本 1)

保健室のアン・ウニョン先生 (チョン・セランの本 1)

 

チョン・セラン 『保健室のアン・ウニョン先生』
大好きチョンセラン~!
クレイジーアウトロー・ポリコレ・ラブコメみたいな…最高では?こんな小説ある日本に?あったら教えてください(欲しいので)。
ネトフリ限定でドラマ化もされてる(これはまあ普通だった)。
「どうせいつか負けることになってるんです。親切な人たちが悪人に勝ちつづけるなんて、どうやったらできますか。絶対に勝てないことも親切さの一部なんだから、いいんです。負けてもいいんです。それが今回だとしても大丈夫。逃げよう。だめだと思ったら逃げよう。後でまた、どうにかできる。」
インピョ先生のめっちゃ好きな台詞~~~~!!!

なに?本当のこと言うのずるくない?

それでさいごウニョン先生のがさがさの唇にキスするの!最高!!!

 

SP  警視庁警備部警護課第四係 (角川文庫)

SP 警視庁警備部警護課第四係 (角川文庫)

 

金城一紀 『SP』(シナリオ本)
たぶん8月にCRISISを観ていたせいで、早急に金城一紀成分を吸いたくなり文庫版を購入。実家に単行本あるけど。
注記が面白いのよね……元ネタの映画が書いてあったり、撮影方法の豆知識とか。

 

ヤマシタトモコ 『さんかく窓の外側は夜』 ⑨
なかなか核心にたどり着かんなあ!(たどり着いたら終わっちゃうが)
映画化ちゃんとうまくいってるかすごい心配。

 

木皿泉〜しあわせのカタチ〜DVDブック

木皿泉〜しあわせのカタチ〜DVDブック

  • 作者:木皿 泉
  • 発売日: 2015/11/30
  • メディア: 大型本
 

木皿泉 『木皿泉 ~しあわせのカタチ~ DVDブック』
木皿泉キャンペーンの一環。対談とかを納めた本と、ドキュメンタリー映像のDVDのセット。
ファン垂涎とはこのことですな。すばらしい生活の姿が映っていたよ…はあ。こういう結婚がしたい。

 

阿部知二ほか 『犬』
クラフトエヴィング商会が編んだ、犬が出てくる短編集。幸田文とか川端とか。
昔はそうだよね、野良犬がいたよね。あと、イマドキの犬の方が童顔でかわいいよね。

 

田島列島 『水は海に向かって流れる』 ③
完結してしまったー。最高の人生にしようぜ!っていう話でした。私もそう思います。
田島列島、説明しない勇気がすごい。それでちゃんと売れてるから凄い。

 

きえもの日記

きえもの日記

  • 作者:高山 なおみ
  • 発売日: 2015/04/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

高山なおみ 『きえもの日記』
木皿泉キャンペーンの一環。「昨夜のカレー、明日のパン」の消えもの(食べ物)監修をした料理研究家の日記本。レシピ付き。
ていねいな暮らし的文章は苦手分野なので半目で読破。
おいしそうな手料理が沢山出てくる本を読んだ後あるあるで無事に自炊欲が刺激されたので、仲のいい先輩を家に招いてむりやり手料理を食べさせた。
献立:餃子・茄子の揚げびたし・五目ひじき・ラタトゥイユ・春菊、トマト、牛肉のエスニックスープ。

 

恋の心に黒い羽 (MARBLE COMICS)

恋の心に黒い羽 (MARBLE COMICS)

 

 ヤマシタトモコ 『恋の心に黒い羽』
これも先月買い込んだやつのうちの一冊。
恋の心を黒い羽に喩える~~~~~~!?!?天才!!!!!

 

藤緒あい 『誰かのことをすきなだけ』 ①
好きな漫画家さんなんだけど新刊買ってなかったなーと思い購入。
この人の絵と文章の感じ、あとテンションが好きだから普通に面白く読んでいるけど、いつも10%くらいSFなのが面白いんだが今回はそれがなくて、今のところ普通にリアルなチャラいタラシ美容師に人生狂わされる哀れな主人公がかわいそうすぎて見ていられない。見てるけど。

 

 桜庭一樹 『書店はタイムマシーン』
「え、桜庭一樹の読書日記シリーズ絶版なの!?!?やばいっっ時々読みたくなるから急いで中古で買い集めないと!!!!」キャンペーン。初めて読んだのは高校の頃だったと思うが今も全然色褪せず面白い。

たしか既刊は5冊くらいあったはずなんだが、1巻とか2巻とか通し番号がついてないから、メルカリで単行本を発注した後にうっかりAmazonで文庫も発注してしまった…

まあいいけど。単行本の方はなぜかサイン本だったし。

 

田村由美 『ミステリと言う勿れ』 ⑦
いつ読んでも冬感ある。主人公の髪の毛がアフロでもふもふだからか?
だんだん全巻通しての謎が何だっだか忘れ始めたから読み返さないとな…。

 

ぶどうとスミレ 2 (マーガレットコミックス)

ぶどうとスミレ 2 (マーガレットコミックス)

  • 作者:持田 あき
  • 発売日: 2020/09/25
  • メディア: コミック
 

持田あき 『ぶとうとスミレ』 ②
一巻めっちゃ良かったから期待して買ったらなんか…うん、それはそう。私もそう思います。
みたいな事項が羅列されて終わってしまった…。が、まあ良い。絵が好きなので。主人公の女の子の名前が「みなと」なのが良い。かわいい。