メモ

記録

2020/07/30

2時半ころから眠ろうと心掛けはじめ、5時ころにようやく眠る。
朝じゃん。5時は朝。さすがに認めざるを得ない。私は朝まで眠れなかった。
 
夜22時半から23時ころまで寝てしまったせいなのか、1時頃にヨーグルトとシリアルを食べたせいなのか、昼間ディフューザー精油系のスッキリした匂いのものに変えたせいなのか、はたまた珍しく1時半ころまで仕事をした後に意地汚く1時間ネットサーフィンしたからなのか分からないがとにかく眠れなかった。
 
生活リズムがめちゃくちゃに破壊されている。就寝時間の新記録更新が止まらない。このまま行けば6時になって7時になって8時になって、最終的にまた夜と呼べる時間に眠れるようにはならない。絶対にならない。こういうのは2時から5時の間を往復するだけだと相場が決まっている。
 
ぎり我慢できる腹痛を我慢することに我慢できなくなり、起きだしたのは昼前だった。
チルドのワンタンをネギとニラと一緒にゆでて食べる。
 
なぜかお腹を壊している。理由を考えたが、1時頃にヨーグルトとシリアルを食べたこと以外に思い当たる節がない。
そう、ヨーグルト(乳酸菌)とシリアル(食物繊維)。
腸にはむしろ感謝してほしいくらいなのになぜ謀反を起こされているのか全然分からない。
ついでに不正出血もしている。ちょっと萎えた後、まあ別にいいですけど、と思う。
許すも何もないのに誰に対して「まあ別にいいですけど」と思っているのか分からない。でもとにかく、不正出血するたび「まあ別にいいですけど」と思う。
最近は飲んでいるホルモン剤のせいで1か月のうち20日くらいは出血しているので、ほとんど毎日「まあ別にいいですけど」と思いながら暮らしている。
たぶん体に良くない。
 
ワンタンを啜った後、食器を洗いながら会議に出て、仕事したくないなと思いつつTwitterを眺めるなどしていて、星野源のエッセイが読んでみたいなーと閃く。
近所の本屋に在庫があることをネットで確認。
 
会議の合間にメールをちらほら返していただけで、とりあえず今日はまだ仕事らしい仕事を1つもしていないのでさすがにな、と思い本屋に行くのは我慢する。
 
でもそれを我慢したとて仕事のやる気が出るわけではない。
だって体調が悪いんだもん。生活リズムがおしまいになっているので常にちょっと眠くて頭が痛いんだもん。
 
無理無理、仕事とか~!と思いベッドに横になって、「星野源のエッセイが読みたい」という気持ちをなだめすかすために壇蜜のエッセイを開く。おもしろい。やっぱり壇蜜氏の文章が好きだ。でもまあ、当たり前だけど代用品にはならない。
 
次の会議まで1時間ほどあることを確認し、着替えて本屋に行き、星野源のエッセイ2冊とブレイディみかこのルポ1冊を買う。
「やっぱり買いに行こう」と思ってから寝間着を床に投げ捨てて外に出るための服に着替え早歩きで本屋に向かうまでの機敏さに自分で呆れた。
「仕事したくないな~」とベッドでトドのようにしていた自分なんなんだ。
会社員としての適性が低すぎる。大手を振って引きニート(死語か?)のような生活をするために会社員のふりをして誰かをだまし金を稼いでいる、そういう人生。
 
本屋からの帰り道、ウーバーイーツで近所のラーメン屋のよだれ鶏を注文する。
ここのよだれ鶏はいつ食べても山椒が効きすぎていて、一人前食べただけで口の中が完全におしまいになってしまい水を飲むのもしみるほどで、いつも二度と食べるまいと後悔するのだが、なぜかもう5,6回食べている。
ダイエット中なので少量で口の中がおしまいになってしまって何も食べられなくなるのはまあまあ好都合だと思いつつ注文。
 
帰宅して会議に出ながら星野源のエッセイを読んでよだれ鶏を食べ、今日も口の中がおしまいになった。
作り置きのかぼちゃの煮つけや納豆を食べているうちに口の中はだんだんとおしまい状態ではなくなってきた。
 
「生活リズムが完膚なきまでに破壊されてて日中ずっと頭が痛くて眠い」「夜中までダラダラと働いて昼起きる、夕方頃眠気の限界が来てうたた寝し、夜は眠気が来ない という流れ」と友達にLINEしたところ、「そういうときは無理矢理徹夜すると嫌でも夜早めに寝れるよ」と建設的な意見を返される。
たぶん昨日がそのチャンスだったが、5時に寝てしまったのだと返したら、「惜しいな、もう一歩」と鼓舞された。
 
星野源のエッセイには、いまから9~11年前辺りのことが書かれていた。
キャッシュレスを忌み嫌ってクレジットカードを作っていなかったり、コインランドリーで洗濯物を乾かしていたり、シャワーカーテンの黴に辟易したり、夜中のデニーズで原稿を書いたりしていた。
たぶんもうキャッシュレスを忌み嫌う心も、コインランドリーも、シャワーカーテンの黴も夜中のデニーズも、星野源の生活からは姿を消したんだろうなーと思った。
文庫版あとがきでご本人も、本の中の9年前の自分に対して「誰だこいつは」と言っていた。
 
生活が人格を作るのか、人格が生活を作るのか、どっちなんだろうと思った。
心がすさむと部屋も荒れるよね、みたいなことよく言うけど、そんなことより環境が変わって性格が変わっちゃう人の方がごまんと居るんじゃないか。
まあ両方だろうな。
私の上司は、「どちらが原因でどちらが結果か曖昧、おそらく相互に作用している」もののことを「ニワトリタマゴ」と呼ぶ。「朝どれトマト」のイントネーションで。
 
そういえば起きた時からお腹を壊し続けているのを忘れていて、うっかりよだれ鶏を食べてしまった。口の中がおしまいになるだけでは済まない。

2020/07/15

二度寝から目覚めたら、会議の開始時間を16分すぎていた。

慌てて起きだして暗闇の中でPCを開く。40人近くが参加する会議なのでまあバレない(と思う)。

そしてまた気絶。目を開けたら12時前だった。

 

一昨日から昨日にかけて、24時就寝9時起床に成功し、ようやく取り戻したかのように思えた人間らしい生活。元の木阿弥とはこのこと。人間が怠惰なので無理。堕ちられるところまで堕ちるだけ。

 

昼ごはんに、昨日作ったひき肉のスープに平はるさめ(先日わざわざ二駅隣の業務スーパーまで行き、念願かなって手に入れた)を入れたやつを食べる。

先週末にお裾分けした友人に「平はるさめ美味すぎないか」とLINE。

 

啜りつつ、メールを捌く。

午後からは立て続けに2つ会議。

1つ目はほとんど自分に関係ない話だったので、聞きつつうたた寝(また寝ている)。

「その話いま関係あります!?」とかなんとか激論を交わす先輩たちの声を聞きつつ、心の中でかなり強く己を叱咤激励して身体を起こし、顔を洗って食器を洗う。

 

2つ目はわりと自分に関係ある話だったので、会議に参加。

お客様と他社コンサルの会話を聞きつつ、あまりにも彼らが客先のシステムについて無知なので、部下に「発狂しそう」とSlack。

「気持ちはわかりますが、落ち着いてください笑」と宥められる。

口をはさむのも消耗するので、うなだれつつ、それでも時折耐え切れず口をはさみつつ、他の仕事をしつつ、2時間経過。

相手のコンサルは既婚・日焼け・マッチョ・笑顔・(仕事はあんまりできない)という「気は優しくて力持ち」の権化なので、私が偉そうに言えることなど何もないのであった。彼らの背後では子供が叫び走り回っているのが聞こえる。私と違って日本の少子化を食い止めることに貢献してます。あんたが大将。それでいい。だがせめてセル結合をしないでくれ。データが入ったExcelの行数を「いち、に、さん…」と目視で数えるのもできればやめてくれ。でも多分、こんなことに目くじらを立てる自分がきっと間違っているんだろう?か?何の話?

 

やろうと思っていた仕事を隣のチームの人がやってくれていたことを知り、嬉々として夕飯を買いに出る。

 

近所の、個人経営の小さな古本屋に本を売るつもりで持っていったが、定休日なのかシャッターが閉まっていた。しかたなくはす向かい辺りにあるチェーンの古本屋に持ち込む。5冊ほどで260円也。やはり買いたたかれた気がする。妥協せず個人経営の店が開くのを待てばよかった。

 

明日肉豆腐を食べたくて、材料を買う。

近くの焼鳥屋のテイクアウトを買いに行くと、愛想ゼロのご婦人に「時間かかりますよ、今日は7,8分くらいかかります」と言われたので、了承して近くの本屋に入る。

 

うーん、やっぱり駅前に比べて品ぞろえ、いまいち。というか、なんか癖がある。

とりあえず平積みされていた『だから私はメイクする』を購入。話題になっていたから…(かなり前のことな気がするが)

ちなみにさっき読んだけど、まあそうね‥面白くなくないけど、1000円払わなくてもいかったかな…

 

焼鳥を受け取って、ぎりぎりでまた会議(18時半~)に滑り込む。

豆腐とアボカドとごはんと焼鳥を食べる。

会議のあと、また会議(19時半~のはずが前の会議がずれこんで20時~)。

 

自分のチームの仕事が難航しているので、進め方を相談するためにマネージャーらの時間をもらう。

ただし21時に閉まる病院にも行きたかったので、話好きのマネージャーが機嫌よく色々話すのにひやひやしながら相槌を打つ。

 

昨日の会議で、他社コンサルがお客様の前で大破した時の話になり、

「会議のあと、お客様抜きで会議したんですけど、わたしめっちゃキレててやばかったっぽいです笑」と言ったところ、部下が「あれは反省会ではなく説教を聞く会でしたね」と言っていた。

マッチョに説教。結構なご身分。

 

結局21時を少し過ぎてから病院に滑り込む。

前回は、処方された薬を飲んでいたら不正出血したと医師に伝えたところ、「あれ?おかしいなあ」と言われ「(思っても言うな…)」とかなり萎えた。

今日は「どう?薬増やしたら止まったでしょ」と言われた。全然止まってないので「いえ」と言ったら「あれ?そう?…まあいいや」と言われた。間をあけるな。

ヤブならヤブで堂々としてほしい。不安になり放題プランを契約したつもりはない。まあいいけど。

手元の残り2錠を飲み切ったら、また月のものが来るらしい。どんだけ出血。まあいい。血液くらいくれてやる。もってけ泥棒。

以前、医学部で学んでいた知り合いから、「面接のために『おつらいですね』と言う練習をした」「同級生100人いて、自分が診てもらっても良いと思う人間は1割以下」という話を聞いてから、病院にかかるたび、もう今より悪化しなければなんでもいいと思うようになった。

病院、警察、役所の人に対して対応が悪いと怒る人たちって、現実にものすごく期待しているポジティブな人なんじゃないか。そこにサービス料は含まれていない。あと競合他社とかがいないから親切にするモチベーションがない。

 

帰宅して、バイオリンを弾き、食器を洗って、突然ダイエットが馬鹿らしくなり、アイスと豆菓子とオレオを貪り食う。

 

『君は放課後インソムニア』3巻を読み切って、最高すぎてツイート、そして漫画好きの知り合いにLINE。

 

最近食器や調理器具をアルコール除菌するのにハマっていて、今日はその延長で冷蔵庫をアルコールスプレーとキッチンペーパーで拭いた。

冷蔵庫の中を仕切る板が、実は2枚重なっていたことに気付く。

買って4年経って、初めて知った。 本当は縦3つに区切れたんだね…

縦2つに区切られていた冷蔵庫から、縦3つに区切られた冷蔵庫へ……

 

 

夜は壇蜜日記読みながら寝よう。

 

「今年は無理して映画観る」の進捗(6月の読書月記)

都内の映画館が営業再開したので、映画をいくつか観た。(「ひとよ」「三島由紀夫vs東大全共闘」「ANNA」「ソニック・ザ・ムービー」)

3月ごろから、映画を趣味にしようと思い立って無理やり映画館に行くようにしていた。配信系サービスで観た方が低コストで量を捌けるので効率的だと分かってはいるのだが、いかんせん私という人間が強烈に注意力散漫であるため、携帯やPCの画面で映画を観ていると徐々に他のこと(エアコンの温度設定、手元でぬるくなった飲み物、画面の埃etc.)に関心を持っていかれてしまい映画に集中できない。だから映画館じゃないと映画が観られない。座席に自分を縛り付け、映画以外の情報を極端に制限した環境下でないと、映画が観られない。

本当に映画が好きな人は、媒体を問わずいろいろと古い作品までさかのぼり、貪るようにして映画を観ているんだろう。そんなことは分かっている。何とでも言ってくれ。とにかく私は映画を趣味にしたいんだ。そして、既存の趣味(音楽鑑賞や読書)の世界と繋げ、広げたい。その一心で、映画の良しあしが一切分からぬ状態(途中で寝たか寝てないかの区別しかない)のまま、人の薦めに従って、興味の湧かない映画でも無節操に観るのを心掛け、はや3か月。

某映画を観ている最中。「もしかしてこの映画…演出がダサくないか?」という疑念が!頭を!よぎった!!!!

歓喜!!!!!

もしかして……

私の目…………

肥えてきている!?!?!!??

 

真相は分からないが、引き続き目を肥やせるよう無理やり映画を観ていきたい。

 

竹内佐千子 『2DK』 ①~④

若手俳優(駆け出しの舞台俳優からテレビでまくりの有名人まで幅広く)のオタクをやっている20代女子ふたりが仲良く2DKで過ごす日常。それだけの漫画。

フルカラーで絵柄が可愛い。

治安の良いつづ井さん的な感じ。(つづ井さんについて治安が悪いという言い方はそれはそれで語弊があるのだが、ああいう狂喜乱舞と悲哀のジェットコースターみたいなエキサイトメントは含まないという意味で)

何かのオタクとか趣味人の桃源郷がここにあるので、オタクを自負する乙女(自薦・他薦は問いません)は全員読んでください。

試し読み:

www.moae.jp

 

裸一貫! つづ井さん2 (文春e-book)

裸一貫! つづ井さん2 (文春e-book)

 

 つづ井 『裸一貫!つづ井さん』②

からの、つづ井さん2巻。

友人のジャニオタとオカザキさんは誰担当なのか問題について話したが、いま軽く調べたところ界隈ではもう結論が出ているようだ…(筆者が意図的に情報を制限して書き、伏せているのでもちろん書かないが)その人、私も好きだ~~~かわいいよねわかる~~~

 

 ブレイディみかこ 『ワイルドサイドをほっつき歩け』

前作『僕はホワイトでイエローで、ちょっとブルー』があまりにもあまりにもあまりにも良かったので、新刊も速攻で購入。

イギリスに住む著者(夫はアイルランド移民)が、身の回りに生きる労働者階級の「おっさん」たちの暮らしぶりについて書いた本。

ブレグジットで動乱するイギリスの「地べた」の温度感が面白おかしく書かれていて、楽しく読めるんだけど考えさせられる。

私にとってブレグジットとイギリスって、思い浮かべるのはニュースで記者会見する首相やら大臣やら政治家であって。この本に出てくる人たちはどれも、ナレーションの背景に流れている映像にうつっていた街角の人Aであり、広場に集まった人たちBCDEF…でしかなかったよなあ。

知らなかったことを知ること、見えてなかった場所を見ることのシンプルな快感に満ちた本。

 

 野田彩子『ダブル』①~②

これ面白い。天才俳優・宝田と、同じ劇団で彼を支える二流俳優・鴨島の奇妙かつ異常な結託の話。

宝田は持ち前の美貌と才能で、順調に芸能の世界を駆けあがっていく。

でも実は、文を読むのが苦手(たぶんトム・クルーズ的な)な宝田の演技は、いつもどんなときも、彼の”ダブル(映画やテレビドラマなどの主要な出演者がなんらかの理由によりあるシーンを演じることができない場合の代役俳優のこと)”である鴨島が台本を読み込み、演技プランを練ったうえで宝田にインプットしているもので…という話。

映画とかドラマが好きな人は全員読んで。少年漫画好きの知り合いも面白がっていたので、少年漫画畑の人も少女漫画畑の人もいけます。

 

猪ノ谷言葉 『ランウェイで笑って』⑯

 千雪ちゃんが好きなので活躍してくれて嬉しい限り。

 

西荻夫婦 (フィールコミックスGOLD)

西荻夫婦 (フィールコミックスGOLD)

 

 やまだないと 『西荻夫婦』

鳥飼茜浅野いにお夫婦が、ほとんど唯一くらい?共通して愛読している漫画と聞いた(気がする)ので購入。

表面上は平和な子なしアラサー夫婦。でも水面下ではいろいろと不穏な気配が…

という。

「子を持たないという選択をしたということは、自分の人生の時間を自分のためだけに使うということ。自分の時間を子供のために費やしてくれた両親には申し訳ないと思う」みたいなことが書いてあってウワ…と思った。それを言ってくれるな…。

結末の意味が理解できなくてYahoo知恵袋で調べてしまった。結論は出ず。結末の意味が理解できないからってYahoo知恵袋を見る奴は何をやってもダメって知ってた?知ってた。

 

 田素弘 『紛争でしたら八田まで』①②

BRUTUSの漫画特集で取り上げられていたので購入。

世界中で起きている様々な問題を地政学で解決する八田さん(めっちゃ強い)の話。

ミャンマーとか、イギリスの移民問題とか、世界情勢の勉強になるので引き続き読んでいきたい所存。こんなもの眉唾だぜって言えるくらいの教養が欲しいけどないのでありがたくこういうのを読んで知識をつけていく所存。

ストーリー展開は水戸黄門バリの安定感で常に八田さんが勝つので安心して読める!

てかやっぱモーニング・アフタヌーンは最強なんだよ。裏切らない。っていう話は前もしたな???

とにかくおすすめだからみんな読んで!!!試し読み↓

morning.kodansha.co.jp

 

鳥飼茜の地獄でガールズトーク

鳥飼茜の地獄でガールズトーク

 

 鳥飼茜 『鳥飼茜の地獄でガールズトーク

漫画家の鳥飼茜氏のお悩み相談コーナーとか、エッセイとかおまけまんがを集めた本。

地獄のガールフレンドのドラマが最終回を迎え(最高やった)、原作単行本はすでに持っているし、Kindleで番外編の短編も買っちゃったし、でもとにかくもっとジゴガー成分を摂取したい…!!!となって、絶版だったこれをAmazon Usedで購入。(Kindleは現在も販売中)

個人的には、「自分より仕事が出来なくて給料も低い同僚の女が、愛嬌があるからと言う理由で周りに優遇されて満足げにしているのが納得いかない」みたいな相談に対する鳥飼氏の回答に痺れた(下記)。

 御相談に出てきた永作似の10コ上は、おそらく彼女なりのマイルールに則って生活しています。そのルールにおいては、10コ下のあなたにお給料で引けを取っていてもその場を和やかにすれば良し、なのかもしれません。

 ゆきんこさんの最も優先させたい価値基準は一体どれでしょうか? すでに手に入れているものかもしれないし、それを手放しても選び取りたいものでしょうか? どれでも良いのです。自分の参加しているゲームのルールは自分で納得できるようにとことん加筆修正して良いです。

自分のことは、とことんマイルール好きなように甘やかせばいい。でも、それと同時に、他人のことをマイルールで測るのはナンセンスである、というのは何の反論の余地もない正論。

最近友達と、「寂しい」って何?どういう感情?孤独感や孤立感と同じか?などという話になった。

その途中で「寂しいからといって人間や動物と同居するのはいかがなものか」という話になり、その場ではその意見で一致を見たのだが、考えてみれば「自分の寂しさを他者(含動物)に解決してもらおうとしない」というのは私が勝手に決めたマイルールであって、自分がそれを破って他者に依存した時に「いかんいかん」と思うのは結構なことだが、それを他人にも適用して、コロナ禍まっただ中にペットショップで契約書にサインしている人を見て「ケッ」とか思う(実話)のは間違ってるんだろうな。

疑問を呈すのは良いが、批判するのはやめよう。うんうん。めっちゃ普通のことだが。

5月の読書月記

5月。まだまだ自粛の1か月。
前半は、GWをいかに充実させるかに注力(前回の記録参照)。
後半は、付き合っていた人と別れるべきか否かをだらだらと考えていた(結局6月頭に別れた)。
コロナ破局とかコロナ離婚とかはよく言ったもので、この状況って既存の人間関係の清算を促す効果が大きすぎる。じっくり考える時間がありすぎ。冷静に比較検討する余地ありすぎ。勢いとか思考停止を許さなすぎ。

 

大童澄瞳 『映像研には手を出すな!』 ②~⑤
やっぱり漫画は一気読みが至高。浅草氏のサイズ感が可愛くてたまらない。
映像研は同人界隈もかなり盛り上がっているので最高、ピクシブに可愛い絵がたくさんあるし面白漫画も沢山ある。最高。

 

愛のことはもう仕方ない

愛のことはもう仕方ない

  • 作者:枡野 浩一
  • 発売日: 2016/06/15
  • メディア: 単行本
 

枡野浩一 『愛のことはもう仕方ない』
熊本の長崎次郎書店でジャケ買いしたやつ。
離婚して息子と会えなくなった歌人の無気力日常を綴った風私小説(たぶん)。見え隠れするうらみつらみ。
タイトルがとても良い。本文では最後の方に出てくる。
それは著者が知り合いの作家に告げた言葉らしく、
「彼女が『結婚未遂』した男性との『披露パーティー』に私も出席したのですが、しばらくして別の男性を好きになったと告げられたとき咄嗟に口から出たフレーズでした。結論が出ていることを人はいつまでも悩みたいものですね。愛のことはもう仕方ない。どんな出会いも。どんな別れも。もう仕方ないのです。」

誰にも、「愛のことはもう仕方ない」という旨の感覚が頭に過ぎることがあると思っているのは私だけか?
誰にも肯定されなさそうで、口にできたことがないのだが…

 

透明な夜の香り (集英社文芸単行本)

透明な夜の香り (集英社文芸単行本)

 

千早茜 『透明な夜の香り』
フリーターだった主人公の女性が、どんな香りも再現できるという伝説の調香師のもとで事務員として働くことになって…と始まる話。
調香師は多種多様な植物に覆われた美しい洋館に住んでいて、ひっそりと色濃く秘密に包まれており、何故か粗暴なバディ(職業:探偵)にだけは心を許しており…という、“設定”好きは欣喜雀躍必死な設定に満ち満ちた物語である。
千早茜は、曖昧なものを曖昧なままに描こうという覚悟が強く感じられるので好き。
伏線を綺麗に回収したり、大団円!みたいな結末を作ったりしないところに誠実さを感じる。(その分後味悪かったり余韻が重たかったりするが)
著者曰く、この本はエンタメ小説を書こう!と思って書いたとのことで、確かにいつもよりサクサク読めて、ギャグシーンもあり、素直に面白いな~と思った。
でもその中にも、著者の持ち味である生臭い人間の描写(本当にいつも人間の“臭い”が立ち上るように描くのだ彼女は)が息づいていて、読み終わった後の余韻もいつもと変わらずで、満足感高かった。

 

まるごと 腐女子のつづ井さん (文春文庫)

まるごと 腐女子のつづ井さん (文春文庫)

 

つづ井 『まるごと 腐女子のつづ井さん』
たとえ単行本を持っていても、文庫化したら買う。それがファンにできるたった一つのこと。
友達に貸したら全然返ってこない。

 

異なり記念日 (シリーズ ケアをひらく)

異なり記念日 (シリーズ ケアをひらく)

  • 作者:齋藤陽道
  • 発売日: 2018/07/23
  • メディア: 単行本
 

齋藤陽道 『異なり記念日』
みんなの手話という番組で齋藤陽道氏を知って、それで買った本。
ろうの夫婦と、そこに生まれた聞こえる子ども。聞こえる子どもが、聞こえない父母と「対話」しながら育っていく様を丁寧に綴ったエッセイ。
手話も日本語と同じように1つの言語であって、誰かの母語になりえるもので、つまりそれはアイデンティティで、という、考えてみれば普通なんだけど、それを丁寧に追体験できるような本。
手話で話す人から、音声で話すというのがどう見えているとか、私にとっては非常に斬新な視点に満ちた本だった。最近で一番読んで良かった本だなあ。
語り口が優しすぎるので、コロナ関連で刺々しい言葉に触れまくって疲れた心が癒された笑
叔母に薦めたら、読んでくれて、「こんないい人いる!?」って驚いてた…笑
ちなみに叔母は私の知り合いの中で三本指に入るほどの良い人。

 

まだ温かい鍋を抱いておやすみ

まだ温かい鍋を抱いておやすみ

  • 作者:彩瀬まる
  • 発売日: 2020/05/14
  • メディア: 単行本
 

彩瀬まる 『まだ温かい鍋を抱いておやすみ』
新刊が出たらかならず買う作家。新作は食べ物をモチーフにした短編集。
自分の母親の好物を知らない、という話が出てきて、確かになあと思った。たぶん、栄養バランスや、家族の好き嫌いを考慮するだけで手いっぱいで、自身の好物を献立に反映する隙が無くなってしまうんだろう。
思わず母にLINEして、「好きな食べ物は?」と訊いてみたら、「おいしい前菜の盛り合わせとか、色んなものを少しずつ、というのが好き」と返ってきた。要するに自分じゃ作れないやつってことですね。よくわかりました。

 

矛盾社会序説 その「自由」が世界を縛る

矛盾社会序説 その「自由」が世界を縛る

  • 作者:御田寺圭
  • 発売日: 2018/11/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

御寺田圭 『矛盾社会序説』
随分前に買った随筆集?コラム集?みたいな本。社会的・政治的考え方の相容れなさから、付き合ってた人と別れようか迷っていたので、何らかの知見を得られるかしらと思って手に取った。
世の中は「かわいそうランキング」で回っているんだ、という主張を元に、世の中の諸々に切り込む、という建付けの本だった。
地球の裏側で苦しむ難民の子供たちに心を痛め、喜んで募金する人たちが、そこらへんを徘徊しているホームレスや、無職の大人に目もくれないのはなぜか?それは、世の中にはかわいそうランキングというのがあって、後者はかわいそうランキング下位の存在だからである。的な話。
社会学の本なのかなと思って買ったら、コラム集的な感じだった。めちゃくちゃ筆が乗っている感じで、淡々としていない。多角的な見方をして事実を述べるというよりは、わりあいセンセーショナルな物言いをしてゾクゾクさせてやろうという意気込みを感じる本。
個人的には賛同しかねる意見もあったが、まあコラム集だと思えば、そんなもんかと。ここに書いてあることが世界の真実だと思って心を燃やすような人がいたら怖いなと思った。

 

松虫あられ 『自転車屋さんの高橋くん』②
高橋くんサイコー。
ベタだけど、自分の友達に優しい人って良いよな…。

 

はらだ 『ワンルームエンジェル』
本屋で平積みされていたので購入。退廃的な生活を怒るむくつけき男(求職中)のもとに、羽の生えた(物理)美少年が現れて…その正体は実は…という。
BL要素はかなり薄めてある感じ。全体的に淡々として静かな印象。上品。深夜に一気読みした。
こういう話がぶっ刺さりするほど疲れてはいなかったな、と自分の心が健康であることを確認。著者の別作品をPixivで読んだが、凄まじくハイテンションで全ページ下ネタとギャグに満ち満ちており、高低差で耳キーンなった。

 

 持田あき 『初めて恋をした日に読む話』⑪
遅々として話が進まぬ。春見先生の服がいつもかわいい。Ameri vintageのやつらしい。

今一番好きな漫画雑誌(FEEL YOUNG)での新連載が始まったのが胸熱すぎる。

好きな作家がどんどん競演しだすよあの雑誌で。定期購読まであるよ。。。

 

レベルE 上 (ジャンプコミックスDIGITAL)

レベルE 上 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

冨樫義博 『レベルE』上
SF短編集的な。
少年漫画好きの知り合いに薦められて購入。ハンターハンターは3巻で挫折したが、これはちゃんと最後まで読めた!嬉しい!(上下巻で完結)
この人って絵が上手いんだな。そして、半端ない発想力。底知れなくて、決して枯渇しない感じがする。巨匠は巨匠たるゆえんがあるんだなあと思った。

 

流浪の月

流浪の月

 

凪良ゆう 『流浪の月』
両親に捨てられ絶望した少女・更紗を誘拐し、数日でお縄になった青年・文。世間は文を小児性愛の異常な犯罪者としてこきおろしたが、実は更紗にとって文は自分を助けてくれた人という認識。誘拐されていた数日間も、特に危害を加えられることもなく淡々と自由に暮らすことができた、甘美な思い出となっていた。大人になった更紗はDV気質の男性に絡めとられて暗澹たる日常を送っていて(←このくだりがこの手の小説あるあるすぎて眩暈がした)、するとある日、文と再会して…という。
平易な文章、伏線回収、確かに本屋大賞~。という感じ。
個人的には、退廃的な家庭像を読むなら江國香織が最高だし、DV男と依存を読むなら島本理生が良いし、末恐ろしい異常な関係性とかなら川上弘美…と思ってしまった。
個人的には、セクシュアリティの話を書くならもうちょっと深い覚悟を感じさせてほしかった。。割とあっさり過ぎ去って愕然。
まあでも如何にも映像化に向いてそうな感じ。文は華奢な美男子の設定だし。

2020年GW

5月2日 土

昼過ぎて起床。

痩せようと思い買っておいた材料でひじきの炒め煮を作る。

あまったにんじん1本を使ってキャロットケーキを焼く。

水出しアイスティーが飲みたくなったので、ほとんど夏みたいな気候の中、住宅街を縫うように40分ほど歩いて隣町の紅茶専門店ティーバッグを買いに行く。

「店内に入れるのは2人まで」と書いてある。私が入店したあと、2人組が来て、1人が入ってきて「2人で来たんですけど入ってもいいですか?」と店員に尋ねる。

店内は3人になった。

最近引っ越した知り合いに、引越し祝の茶葉を送る。

夕飯はガパオライス。

 

5月3日 日

Rebuild.fmのライブ配信に合わせて10時頃起床。

午前中はこれを聴きながら仕事をすると決めていたが、朝ごはんを食べ、かるくメールを返しているうちに2時間半経ち、ライブ配信は終わった。

仕方なく無音のなかで仕事。

14時頃、一応仕事が終わったので、大量にある作り置きのミートソースにパプリカと赤ワインとチーズを足してパスタに絡めて食べる。パプリカが不味い。

一晩寝かせたキャロットケーキ、旨い。

夕飯は菜の花と鶏むね肉の豆板醤炒めを食べたかったが、スーパーや八百屋など5,6店舗を巡回しても菜の花が見つからなかった。

初めて明確に、春の終わりを悟った。

 

夕飯は鶏むね肉のチリソース、ひじき、マグロとアボカドとトマトのマリネ

 

あいみょんの新曲「裸の心」をnanaに載せようと30分以上試みたが、絶望的に音域が足りないので諦める。

 

5月4日 月

昼前に起床

14時頃から友達と電話

近所にコーヒー豆を買いに行った帰り道、商店街で男女2人組に「この辺でおすすめの飲み屋知りませんか?いまからあと2人来てサクッと飲むんですけど」と訊かれ絶句

高架下の店は開いてましたけど、基本どこもテイクアウト営業だと思いますよと事実を述べたが、それで良かったのだろうかと悶々。機転のきいた返答ができず。

 

その直後、八百屋の列に並んでいたら前にいた人に「離れてくれます!?1メートルって言ってんでしょ!?」と怒られる。謝る。

社会の分断だ…と思って絶望する。

げんなりと帰宅して、ポストを開けると地元議員お手製の小冊子(給付金の受け取り方などについてまとめたもの)が入っている。

誰がポスティング作業をしたんだろう。さらにげんなりした。

 

5月5日 火

昼前に起きて、昨日買っておいたカレーパンを食べる。足りなくてシリアルも食べる。シリアルはあまり食べてる感がなくて食べすぎるし腹持ちが悪い。太りそうなのでこの大袋を早く食べきってしまいたい。

 

無性にベーグルが食べたくて、気に入っている駅の反対のお気に入りの店は定休なので、別のベーグル屋を目指して歩く。

14時前。売り切れだった。

「感謝と奉仕」と看板にでかでか書かれたスーパーで初めて買い物する。今まで出会った全てのスーパーの店員さんの中で最も塩対応だった。ずっと俯いていて声がほぼ聞こえないほど小さい。感謝も奉仕もしたくないんだろう。その気持ちはめちゃくちゃ分かる。看板の文字が塗りつぶされる日が早く来るといい。

いつものパン屋でクロックムッシュとベーグルを買い、肩を落として帰宅。

ブログを書いていたら夜になった。起きて水餃子を作る。茹で時間を見誤り、皮がややドロドロになってひっついてしまったが、まあ美味しかった。

 

5月6日 水

ベーグルを手に入れるべく11時頃起床。

無事にベーグルを手に入れる。

千早茜の『透明な夜の香り』を読み始める。いいところで、友達と電話の約束をしていた時間になった。

医師として働いてる友達と話すのは約2ヶ月ぶりだった。病院にしては珍しく(珍しいことらしい)経営状態のよい首都圏の病院では、一応マスクも防護服も足りているらしい。「多分金に物言わせれば手に入るんだと思う、マスク」と言っていた。

休みの日が自宅待機なこと以外は、比較的平穏に暮らしているようだった。このまま持ちこたえてほしい。天災の規模が大きすぎて、もう最近は知り合いのことしか祈れなくなっている。

彼女と話すとつい病院のこと、医療のこと病気のことなど興味本位に色々質問してしまうが、まあそんなふうに一般人から質問攻めにされるのにはもう飽き飽きしているんだろうなといつも途中で思い至る。

彼女が最近気になっているという男性との話をしてもらった。

頭を撫でる、車道側に出てくれるなどのモテ仕草は、優しさや人柄じゃなくて経験やテクニックを表しているだけだからねと伝えたけれど、まあ楽しそうなので存分に楽しむよう伝えた。元気そうでよかった。

キャベツを炒めながら、「自炊って、思った通りの味にしかならないから全然面白くない」と言っていた。

 

電話を切ったあと、『透明な夜の香り』を読み終える。めちゃくちゃ面白かったので興奮気味にツイートする。

アイスを食べて、お風呂に入り、映像研の漫画を少し読み進めて、寝た。

4月の読書月記

 自粛生活幕開けの月。

 

 幸い、(個人の勤務態度は別として)これまでとほぼ変わりなく仕事ができていた。求められる仕事の量も、会議の頻度も給料も変わりない。

 茶髪やネイルが許容されそうだからという理由でIT企業に就職を決めたが、このようにメリットを享受する日が来るとは考えていなかった。きちんと考えておくべきだったんだろうな、と思う。

 つくづく、世間知らずな学生の分際で出来る損得勘定などたかが知れていたんだろう。でも今は、社会人3年目の分際で出来る損得勘定などたかが知れているだろうと思う。こうやって思考停止していつまでも、知恵を尽くした悔いなき人生のための将来設計のことを「損得勘定」などという冷たい言葉にわざと言い換えて生きていくんだろうか…。はあ。

 ある日突然大きな建物が出現して、それまで当然のように日光が当たっていた自分の住みかが物陰になる。日向と日陰はくっきりと分断される。でも、次どこにビルが建つともしれないし、そもそも日が傾けば日陰の位置は変わる。人為的なものとそうでないもので、それでもくっきりと境界線が描かれていく、そんなような…あんまり上手い喩えじゃないな。

 とにかく、月並みだけれども、あやうい地盤の上に生きているよなあと能天気に日々思う。

 

春になったら莓を摘みに (新潮文庫)

春になったら莓を摘みに (新潮文庫)

 

梨木果歩 『春になったら莓を摘みに』

 梨木果歩氏がイギリスの下宿で、異文化・異民族との触れ合いに戸惑ったり、傷ついたり、感銘を受けたり、四季のうつろいを愛でたりする日々のことが綴ってある。

 三浦しをんが書評集の中で「人生におけるエッセイベスト10(だか5だか忘れた)」に挙げていたので、購入。

 最初の1ページを開いたところで、たぶん同じ理由で10年くらい前にもこの本を手に取り、結局読み終えられなかったことを思い出した。

 当時は「なんか小難しいな…」と思って挫折したはず。今回も、薄い本なのに読むのに1週間以上かかった。筆致がわりあい硬質だからだと思っていた。でも改めて読み返して分かった。10年前もいまも、この本に描かれている事実や感情を噛み砕ける知性と、受け入れる懐が私の中に無いからすんなり読み進められないのだ。

 取り上げられるのは確かにクリスマスの話とか、庭のリスとかで、モチーフは可愛らしいものも多い。でも、全体を通じて描かれ続けるのは、「相手を理解できないこと」「自分が理解されないこと」を思い知るエピソードばかり(そして特に、前者のエピソードの時がつらい)。

 アメリカだかイギリスの大学に進学した高校の友人が、渡航してすぐくらいにくれた電話で開口一番に「辛い。周りの人間のバックグラウンドがあまりにもバラバラ。分かっていたはずなのに受けとめきれない。混乱する。」とこぼしていたことを思い出した。彼女は私の知り合いの中では1,2を争う知的にタフな人間で、外人の友達も沢山いるように見えていたので、そういう人でもこんなに弱り切るんだなあとかなり驚いたのを覚えている。もう何年も話していないが、結局なんやかんやで今も向こうで研究を続けているようなので、たぶん混乱に対処する方法も見つかっているんだろうと思う。

 梨木果歩は(小説家だから当たり前だが)ものすごく観察眼が鋭く、人並み以上に感受性豊かで、強烈に思慮深い。その解像度で、私の友人が目の当たりにした混乱を描くんだから、とにかく情報量が凄い。

 異国の地でサバイブするために、同じコミュニティーにいる人と分かり合って和やかに暮らしたいと思うのは自然なことで(ここまでは想像できる)、そのとき相手が自分には受け入れがたい言動を繰り広げる苦しみというのは多分相当なものだろう(この想像はもうかなり怪しい)。

 多様性を受け入れるということはそういう受け入れがたい(=拒絶したくなるような)ものを何らかの形で受け入れるということで、バックグラウンドが違うのだから言動が違うのは当たり前で、たとえその言動が悪意に基づいていたとしても、その悪意さえ何らかの否定し得ないバックグラウンドに起因するのだとすれば受け入れるべきで…とかなんとか、それでも感情的に受け入れられないモンは受け入れられないこともあるはずで、私なら自分で自分を板挟みにして発狂する自信がある。

 そういう、私なら発狂必至の日常が、淡々とした筆致で描かれている。

 私は狭量で知的タフネスが足らないので、この日常を梨木果歩とともに丁寧に歩める領域に達していない。よく分かった。人類としてのレベルが低いんです私は。

 

猪ノ谷言葉 『ランウェイで笑って』 13-15巻

 基本的にこの話は、デザイナーを目指す主人公・育人くんの成長が著しすぎて向かうところ敵なしのため、あまりにもすべての難題が秒殺されてしまう。最近はもう育人くんがあまりに安定してずっと一本調子で無敵のため、主人公の成長を味わうというよりは、手を変え品を変え襲い掛かるいろいろな難題の方を味わう感じになってきている。それで若干放置していたが、初のステイホーム週末に備えていそいそとKindleで購入。

 相変わらず育人くんは無敵。異常なスピードで成長してすべての難題をクリア。いや君、そこら辺にいる冴えない服作りが趣味の高校生なんじゃなかったのか。ふつうに有名ブランドのデザイナーになってるし、TGCに出品してるし、パリコレにも手が届きかけてるよ。でもちょっと久しぶりに読んでわかったけど、この異常なスピード感が良いんだたぶんこの漫画は。特段苦労もせず(せいぜい2徹で頑張って縫うとかそういうレベル。それで潰されそうだったブランドがまるっと救われてしまう)どんどんのぼりつめていく様子は、100本ノックを見ているような小気味よさがある。

 まあでも、最近あんまり出てなかった千雪ちゃん(推し。天才的モデルの才能を持つが、背が低いという決定的なハンディを背負っている)がたくさん出てきたので楽しかった。強いヒロインは良い。もっと育人くんをタジタジにさせてほしい。タジってる育人くん可愛いし。

 『ランウェイで笑って』、それにしても良いタイトル…。「モデルはランウェイで笑ってはいけない」(主役は服なので、モデルの表情に注目を集めるのはNG)というセオリーがどんな結末でどのキャラの台詞で仕草で覆されるのか楽しみで仕方ない。それを見届けたいというのがこの漫画の新刊を買い続ける理由の半分以上になっている…。なんだかんだ、ラストシーンでは泣いちゃう自信ある。

 

ご本、出しときますね?

ご本、出しときますね?

  • 作者: 
  • 発売日: 2017/04/25
  • メディア: 単行本
 

BSジャパン/若林正恭 『ご本、出しときますね?』

 2,3年前にやっていた小説家(週替わりで2,3人ずつ)とオードリー若林のトーク番組を書籍化したもの。全部観てたので内容はだいたい覚えているんだけど、ちょうどよく記憶が薄れてきたところだったので久々に反芻したくなって購入。結果、ほとんど内容覚えてたけどそれでもめちゃ笑った。

 白岩玄のマイルール「海の砂浜でジャンプして写真を撮る女とは距離を置く」っていうのが本当に好きだ、「楽しそうな瞬間を“盛って”でも作りたい」という思想の持ち主に近寄りたくないかららしい。け、潔癖~。

 写真というものは切り取り方に必ず恣意性があるもので、そういう意味では多かれ少なかれ写真はすべて虚像で、そこに嘘の匂いをいちいち嗅ぎ取ってたらインスタを5分眺めただけでぐったりしてしまうだろう…。いや、実際分かるけども。明言して断言する頑なさが、凡人たらざる所以だなと思う。出てくる小説家の話を読んでいると、そういうことの連続で面白くて楽しい。

 あと、つまらないギャグを言い続ける人に何て言って対処すればいいか?って聞かれた若林が、回答として「ご機嫌ですね~」とか「ロケットスタートですねw」とかを挙げていたのでみんな使っていこう。私も使う。

 

ミシン (小学館文庫 た 1-4)

ミシン (小学館文庫 た 1-4)

 

 嶽本野ばら 『ミシン』

 どうしようもなくはみ出した者同士が傷つきながら運命的に出会い、強く結びつきなおも傷つけられる的な痛ましい中編集。これも三浦しをんの書評が素晴らしすぎて購入。

 ↓空前絶後の名書評だと思う。(『三四郎はそれから門を出た』より)

「生まれて初めて吸った煙草のけむりが、気管を降りて今まさに肺に到達しようとしている。白い汚染物質にまだ一度も触れたことのない薄桃色の肺胞は、あとコンマ数秒後に確実に流れ込んでくる煙の存在をはっきりと予感している。この本はそんな、どこか諦めにも似た深い静けさに満ちている。」

 この本を読んで私が思い出したのは、いわゆる思春期の頃、「相手にとっての自分が、自分にとっての相手と同じ重みではないかもしれない」という観念にしばしば取りつかれては苦しみ、内心悶絶していたことだった。当時は付き合っている人もいなかったので、先生やら友達やら親やら、周りの近しい人たちのふとした言動を目にするたびしょっちゅうこの観念が頭をもたげて来て、そのたびに深く絶望して痛みを感じていた気がする。

 平たく言うところの「我等友情永久不滅」「ズッ友」的な意思表明は、基本的に思春期を過ぎるとなりを潜める。最近、実家で高校の頃使っていたガラケーを発掘して、友人とのメールを読み返したらまあいろんな意味で痛々しく気が遠くなったが、何より今なお交流のある友人との距離感が、今ではとてもできないような近さで面食らった。詳細は思い出したくもないが、たぶん当時はそうやって親密さを確認し合わないと辛かったんだろう。エネルギーを持て余しては手当たり次第に周りの人に肩入れして、同じだけの情熱が返ってこなければ絶望して、というのを繰り返していたように思う。

 当時あれだけ近しかった(近しすぎた)友人らとも今は適切な距離を保って、ほどほどの頻度でまとめて近況報告し合っている。当時だったら、「最近彼氏できたんだよね。2か月前くらい?」とでも言われようもんなら発狂だろう。2か月も前に!?どうして言ってくれなかったの!?(わなわなと震える)みたいな。

 「相手にとっての自分が、自分にとっての相手と同じ重みではないかもしれない」という事実は、昔も今も変わらない。「まじか。ふ~ん。」くらいのモンだ。というか、もう大人だから、そうでないとやってらんねー。例えば、大して仲良くない人の結婚式になぜか呼ばれるのも、仲良いと思ってた人が気づいたら結婚して転職して引っ越してるのも。

 

ゆびさきと恋々(1) (KC デザート)

ゆびさきと恋々(1) (KC デザート)

  • 作者:森下 suu
  • 発売日: 2019/12/13
  • メディア: コミック
 

森下suu 『ゆびさきと恋々』 1巻

 難聴で手話を使って話す女の子と、トリリンガルの男の子の胸きゅんモノ。ネットでこれを褒めている人がいて、ちょうどろうのカメラマン齋藤陽道さんのエッセイを読んでいたこともあり購入。

 絵柄、めちゃ綺麗。森下suuという漫画家は、ストーリーと絵を別々の人が担当しているらしい。へ~。

 手話ってちょっと今までにないモチーフだなーと思って読み始めたけど、大筋はn番煎じの、内気でうぶな女主人公が、イケてるメンズ(胸キュン動作を熟知)に見いだされる、という王道のやつ。でもとにかく絵柄がめちゃくちゃ綺麗。最近あんまり少女漫画読んでなかったけど、出色の繊細だと思う。それだけで十分読む価値がある。

 設定上、主人公がほとんど声を出さない(スマホの画面とか手話をつかって発話する)ので、吹き出しが少なくて無音のシーンが結構多い。それがとても効果的に挿しこまれており、壊れやすく静謐な世界観が作られている。息を詰めて読みたくなる感じ。たぶんざわざわした通勤電車で読むやつじゃないやつ。寝る前に照明を落としたベッドの上か、休日の昼下がりに読むやつ。ちゃんと心が凪いでる時に読まないと、(台詞の文字が少ないので)高速でページを繰ることになってしまう。

 物語の展開も、ちゅどんちゅどんとハプニングを起こしてヒロインとヒーローの距離を縮めにかかるのが通常運転の少女漫画よりは遅め。私は気が短いので若干じれったく感じた。あと2冊くらい出てからまとめて読みたいな…でもまとめ読みのスピード感で読むのもそれはそれでまた間違った味わい方のような気もする。

 ところで、この話は主人公の性格がそもそも大人しいっていう設定なのでさておき、手話で(おそらく日本語対応手話と日本手話ですこし事情は違うと思うのだけど)話している人って別にそんなに静かな印象じゃないんだよな。齋藤さんも「(手話で)全力で言葉を尽くして話した後は腕がめちゃ疲れる」みたいに書いてた。マシンガントークで喉乾くのと一緒だな~と思った。当たり前か。

 

酔って記憶をなくします (新潮文庫)

酔って記憶をなくします (新潮文庫)

  • 発売日: 2010/09/29
  • メディア: 文庫
 
ますます酔って記憶をなくします (新潮文庫)

ますます酔って記憶をなくします (新潮文庫)

  • 発売日: 2011/04/26
  • メディア: 文庫
 

石原たきび 『酔って記憶をなくします』、『ますます酔って記憶をなくします』

 自粛ムードに疲れてきて、アホな話に癒されたいと思い購入。

 「酔って記憶をなくします」というmixiコミュニティ(!)に寄せられた酔っ払いの武勇伝を集めただけの本。「酔って海へ、気づけば鼻の辺りまで海水が。上司のハゲ頭に柏手を打って拝む。交番のお巡りさんにプロポーズ。タクシーで5万円払い「釣りはいらねえよ」。居酒屋のトイレで三点倒立の練習。ホームレスと日本の未来について語り合う」などなど。人間ってすごいな、と素直に思う。酔っ払いの奇行も凄いし、なんだかんだそれを受け入れて許している周りの人間も凄い。

 酔って記憶を完全になくしたことは今で一度もない。史上もっとも深酒したのは大学時代のサークル合宿で、酔い方としては「笑いダケを食ったかのように爆笑し続け、大声で周りの人を指さしながらダメ出しをしていた」というもの。朝になって目撃者から何をダメ出ししていたか聞いたら、全てが普段から思っていたが口に出していなかった内容だったので絶望した。酔ってダメになるのではない、酔って本性が見えるだけというのは本当だ。今でも普通に接してくれるサークルの人たちに感謝。ダントツの黒歴史。あれを超えてくるものがまだない。早く塗り替えたい。

 

 大童澄瞳 『映像研には手を出すな!』 1巻

 正直、先月の記憶がけっこう曖昧だ。映像研にハマっていたこと以外は…。

 一部界隈でめちゃくちゃ流行ってるやつ。映像研究同好会でアニメを作る女子高生3人組の話。

 4月最終週に映像研のアニメをFODで一気見してからもう夢中になってしまい、それからは寝ても覚めても電撃3人娘をいとおしく思うのに忙しく、実写版を観たり、ファンアートを漁るためピク●ブに入り浸ったりしていた(今もしている)のでもうあまり他のことを覚えていない。

 Rebuild.fmという、愛聴しているテック系ポッドキャストで出演者全員が「モノづくりに携わる人には確実に刺さる何かがある」等と褒めちぎっていて興味をもったのがきっかけ。(まあ確かに、こだわりや誇りをもってアニメづくりに取り組む姿を見て、私もちゃんとこだわってパワポだのExcelだのシステムだの作ろう、とちょっと奮い立たされた。)

 あと、原作の著者が「趣味全開で描いてます」みたいに言ってるので、たぶん漫画好き・アニメ好き・ロボット好き?にはたまらないディテールが随所にちりばめられているっぽい。(私には分からない)

 まあ私はそういう本質とか神髄的なものは一切感じ取れないポンコツ視聴者だが、もうアニメ最終話まで観たらもう。ストーリーとかメタファーとかオマージュとかは分からないが、とにかく3人のことが好きすぎて胸が苦しい。

 何が良いって、3人とも高校生で、アニメづくりは高校の部活動。ということは、作中で高校1年生の3人娘は、あと2年したら高校を卒業してたぶん離れ離れになる。3人のアニメ作りは、少なくとも今の形態では続けられないのだ。

 アニメ版の最終話は「私たちはまだまだこれから!」というニュアンスで終わったし、原作漫画はまだ完結していない。じゃれあいながら全力でアニメを作る3人は、アニメの中で、漫画の中で、とても素晴らしい青春を過ごしている。

 でも、私は、そういう日々がそう遠くないうちに必ず終わることを知っている。その有限性、不可逆性の中で、渦中にいるからそれに気付かずあまりにも生き生きとしている3人娘の躍動を見ているとノスタルジーなのか羨望なのか庇護欲なのかなんなのか分からないがとにかく泣きたくなるようないとおしさで胸がいっぱいになる。

 よって他のことは何も考えられません。

 原作は5巻まで出ていて、まとめ買いしたけど読み終わるのが惜しいのでちょっとずつ読んでいる…。

 仲良し女3人組的なジャンルで言うといまドラマでやってる「地獄のガールフレンド」も原作ドラマともどもめっちゃ良いんだが、こっちはアラサー女子の終わりなき日常を切り取った話なので、映像研的な切なさはあんまりない。

 3人組の関係性に関しても、『ミシン』の感想で書いたみたいな異常な親密さの有無があるかもしれない。

 

***

とにかくもう今わたしのiPhoneの待ち受けは映像研になりましたから。ミーハーですので。

ドラマもまた違ったストーリーなんだがとっても良いよ~~~映画早く観たい。アニメも2期はよ~~伊藤沙莉さんの浅草氏がすごくすごくすごくよい。

3月の読書月記

沢山映画を観ると決意したのが2月末。それで3月は8回映画館に行った。(+Prime Videoでは2本観た)

それまでは、年に2回行くかどうかだったのに…自分の短絡的な行動力にそこそこ唖然。

コロナでさっそく出鼻をくじかれた形だが…

 

お茶の時間 (講談社文庫)

お茶の時間 (講談社文庫)

  • 作者:益田 ミリ
  • 発売日: 2019/06/13
  • メディア: 文庫
 

なんか、丁寧な暮らしっぽいのんびりした本を読んで、かわいらしいメンタルになろうと思い、最寄り本屋で面陳されていたので購入。

が、益田ミリ若い女子の味方っぽい絵柄のわりに全然若い女子の味方してくれないのを読んでから思い出した。

たぶん、ほっこり絵柄で凄まじい切れ味、というのが益田ミリの魅力なのだろうな。ぼんやり読んでいるとグサリと刺される。

一番グサリだったのは、益田氏がひとりで入ったカフェで、近くの席にいた若い女子たちが「もうすぐ30歳じゃん~やばい終わる~」とか話しているのを聞いて、フフフ…じゃあ私は終わってるってことか…とほくそ笑むシーン(益田氏は御年51歳)

確かにその若者たちの発言は浅はかなんだが、それをそう描く益田氏のうっすらとした悪意、あと、そういう若者の無神経さとか知見の狭さに対して、「フフフ」とほくそ笑むスタンスに胸がざわついた。

この「やばい終わる~」みたいな、多方面に放られた(特定の個人を意図していないという意味で)悪意なき、悪意とでも言うべきものが自分に向かってきたときどう対処するか、というのは人によって違うし、正解もないと思う。

でも、「フフフ」と冷笑気味に距離をとるのは、なんか怖いと思った。背筋が冷えた。

 

新装版 三四郎はそれから門を出た (ポプラ文庫)
 

 大好きな三浦しをん女史が直木賞の選考委員になったのが嬉しすぎて、会社でTwitterを見ていて(見るな)、知ったその日の帰り道のテンションで何度も読み返したはずのこれを文庫で再購入。 

三浦氏の書評大好き。彼女の小説はもちろん最高なのだが、読み手としてのアウトプットレベルが高すぎる。主題をがっちり捉えたうえで、なぜその主題が読み手にとって意味があるのかを、押しつけがましくなく提示してくれる。こういう読み方ができるようになりたい…といつも思う。

文学賞の選評も毎回本当に意味わからないくらい面白い。

女による女のためのR-18文学賞 | 選評 | 新潮社 

女による女のためのR-18文学賞の選評は毎年本当に楽しみにしていて、前回も「十二行目までで、「(イヤフォンを)耳にさし」という表現が四回も出てくるのは、常軌を逸した耳にさしまくりぶりだと言わざるを得ない。」とか言っていてまじで笑った。(ここはややふざけているが、平易な文章・ふざけた調子で鋭いことを言いまくっていて毎回しびれる)

三浦氏の書評集の中だったら、これが一番好き。ふつうのエッセイも読めるし。

「耐え難く代えがたいもの」の章でいつも少し泣きそうになる。 

 

本屋さんで待ちあわせ (だいわ文庫)

本屋さんで待ちあわせ (だいわ文庫)

 

 『三四郎はそれから門を出た』を買うとき、隣に並んでたからついこれも…読んだことあるし実家に単行本あるけどさ…買ったよね…。装丁かわいいし(言い訳)。

三浦しをんの書評集の中では最新だから、いろいろ最近出た本を知れてよい。

ノンフィクションが結構たくさん紹介されていた印象。学術書とか専門書まではいかないけど、小説家・文筆家ではない人(科学者とか探検家とか音楽家とかタレントとか)の本をよく読んで、毎回めちゃくちゃ生き生きと書評している。すごい。

興味を広げる営みって結構体力いるなと思う。たとえば私は死ぬほど運動音痴で、スポーツはやるのにも観るのにも一切興味持てない。で、このあまりのスポーツへの縁遠さに対するコンプレックス(=スポーツ好きの人は何となく明るそうだし気持ちのいい人間って感じがするのに私ときたら)を解消すべく、サッカー選手とそのサポーターが登場人物の小説を買って読んだんだが、まー遅々として読み進められず、泣きそうになった。

私のようなもののためにサッカーの基礎的なルールや、Jリーグの仕組みについて説明する部分が挟み込まれるのだが、これに興味がないので読み飛ばす。すると、それを前提に進むストーリーの内容が全く頭に入ってこない。それで気分が削がれ、数ページ読んでは本を閉じてしまう(自業自得)。なんとか読み終えたが、だらだらと時間をかけて読みすぎたせいで読んでいる端からそれまでの内容を忘れて行ってしまい、最終的には「…うーん(よくわからなかった)」という状態に。

サッカー攻略ならず。なんという敗北感。

同じようなことが数学とか化学とかの出てくる本(森博嗣の本とか)にも言えて、もうこれは「興味が持てない」というこの一言に尽きるのだが、時々そのことにどうしようもない劣等感を感じる。

スポーツにも、数学にも、化学にも、興味を持てればもっと人生は豊かになるに違いないのに…!

あ~、『フェルマーの最終定理』(新潮文庫)を読んで「自分は数学は苦手だけど、面白かった」と言いたい。言いたいよ~。(絶対読み通せないから買ってない)

 

A子さんの恋人 6巻 (ハルタコミックス)

A子さんの恋人 6巻 (ハルタコミックス)

  • 作者:近藤 聡乃
  • 発売日: 2020/03/14
  • メディア: コミック
 

2年に一回しか新作が出ないA子さんの恋人新刊…

発売日の前日に最寄り本屋で平積みされており、嬉しさのあまり動悸がした。

震える手で購入。

私は「表面上はクールでスマートだが、実はめちゃくちゃ虚勢を張っているしみったれた男性キャラ」が狂おしいほど好き、というか端的に言ってそういう男性キャラにめちゃくちゃ性的魅力を感じるので、断然・A君派だ!A君好きだ!凄くセクシーだ!(鼻息荒)

貸し借りしているものを無理にでも清算した時の、あの異常なスッキリ感なんなんだろう。たまに、「ああもうこの人とこの先交友関係を続けるかどうか怪しいので、貸し借りはすべて清算しておこう」と思い立ってやることがあるけど、毎度スッキリ効果高すぎて驚く。なんなんだろう。本当にすごいよな。

個人的にU子ちゃんがめっちゃ好き。かわいい。U子ちゃんだけのLINEスタンプ出してほしいくらい好きだ。

シンチェリータ行きたいなあ。コロナめ…

 

500年の営み (onBLUE comics)

500年の営み (onBLUE comics)

 

 『本屋さんで待ち合わせ』の文庫版書下ろしかな?でしをん氏が褒めちぎってたので購入。

思えば、BLを読むようになったのも、「BLに興味がない」自分に強い劣等感を感じ(「腐女子のオタクって普通のオタクより人生楽しそう(偏見)」と漠然と思っていた)、とりあえず自分が普段読んでいるNL漫画家(ヤマシタトモコ雲田はるこ等)がBLも書いているようだから、と言って買い始めたのがきっかけだった。

ということは、これは強行・興味拡張がうまく行ったケースか…

でもBLって結局少女漫画の文法で書かれているし、作者も共通だったりするし、別に元々少女漫画に親しんでいた自分にとっては何も無理してない感じがするな。

しかも、好きな作家が新刊を出したらチェックするくらいで、本屋に行くたびBLの棚をパトロールするほどハマってもないしな。敗北。(また)

で、これは、最初読んだ時は「いや……は?なんで好きになってんの?」と思ったんだが、読み終わって半日くらい経ってから感動が来た。

たぶん、この漫画は、Aさんを愛することと、Bさんを愛することの相違点が描かれているんだな、と思った。

基本的に恋人とかパートナーの枠に1人しか収まらないという社会的な前提の上で、Aさんをそこに置いて愛していた人が、Aさんと別れた後、Bさんを恋人(パートナー)にしたとする。

Aさんに対する愛情とBさんに対する愛情は、相手が違うんだからやっぱり異質なものになる(好きな所も違うし、相手に対する自分の振る舞いも違うはず)とは思うんだが、でも、世の中的には、そのたった一つのポストに向けられる愛情の重さや大きさは、同質たるべきだという思想もある気がする。

かといって、Aさんを愛したようにBさんを愛するというのは、それはBさんに対して不誠実なんじゃないか?というようなことを考えた。

 

意識のリボン

意識のリボン

  • 作者:綿矢 りさ
  • 発売日: 2017/12/05
  • メディア: 単行本
 

 この頃、三島の『戦後日記』をニヤニヤと読み進めていて、心がすっかり戦後に居たので、現代的なものにも触れておかねば…と思い、読みかけで2年とか放置されていたこれを本棚から引っ張り出してきた。

短編集だから、料理しながら読んだな。野菜が煮えるのを待つ間とかに。

地味にサイン本。名古屋で働いていた頃、「サイン本!」というのが平積みされていたことに「さすが名古屋…!?」と興奮して購入した。(都内の書店だと、著名な作家のサイン本はわりとすぐに売れてしまう) 

綿矢りさは、普通に好きだけどあんまり詳しくない。(たぶん4冊かそこらしか読んだことない)

なぜか分からないけど綿矢りさを読むと「あ~綿矢りさだ~」という感情に頭の8割5分ほどが持っていかれてしまい、それ以外のことがほとんど考えられなくなってしまう。文体が特徴的すぎるのか?癖があるとか嫌とか思ったことはない(むしろ好き)なのにな。 

私の中で綿矢氏は「これ何ていう私?」と思わされる系筆致(太宰治の「女生徒」でよく言われる徹底的な一人称筆致のような…)の代表格だから、自分を暴きたくないという防衛本能が働いて、読んでいても抽象的な思考に結び付かないんだろうか。なんなんでしょう。

これも身につまされるような箇所がいくつもあって良い本だったんだけど、最終的に残ったのは「あ~綿矢りさ氏の筆致~うんうん好き好き」としか表現できない感慨であった。敗北。(再再掲)

 

戦後日記 (中公文庫)

戦後日記 (中公文庫)

 

 もうすぐ映画(「三島由紀夫VS東大全共闘 50年目の真実」)が公開になるなあ、と思って本棚から出してきて読んだ。

随分前に最寄り本屋で買ったはず。新潮文庫の『小説家の休暇』とだいぶ収録作品がかぶっているが…まあいい。(そっちはちょっと読んで放置してしまっている)

もうめちゃくちゃ面白い。最高の日記本です。

最高だと思ったのは2点あり

①小説家であり戯曲作家であり俳優であるということで論じることが可能になる、小説と演劇の比較論がめちゃくちゃ面白い。

舞台は空間から作者が定義できるので、その中で起きることに観客はそこまで強く必然性を求めない(それはそういう空間なのであると思って見ている)が、小説の方が読者に想像の自由を与えていて、ある部分読者が暮らす現実世界と接点を持った世界に物語が展開している(たとえば、「太郎はカフェで~」という描写を読んだ時、読者は自分の知っている”カフェ”のなかに"太郎"を配置して想像することしかできない)から、一つ一つの出来事に必然性を求められがち」という話などは目からうろこ。確かにそう。

②破天荒な生活、皮肉とユーモア

自決してなくても早死にしただろ絶対という感じの生活リズム。

作家・演劇仲間と飲んで25時すぎ帰宅がデフォ。筆がのれば徹夜しまくり。そんなんだから朝9時に起きるだけで「決死的早起き」とか言ってる。

そんなんだから、付き合いで観に行った演劇が退屈だと眠くなってしまい、勝手に抜け出して近くの映画館でドンパチアクション映画観て「面白かった」とか言ってる。勝手か。おもろい。

全体的に皮肉とユーモアが効いているのがいい。好きな文体。 

好きな作家は三島由紀夫と言うといつもギョッとされるが、べつに憂国思想で自決してるから好きとかじゃないんだよ~ただただ文体が好き…

よく、教科書だか推薦図書高で『潮騒』を読まされ、三島が無理になったという人がいるが、そういう人は『レター教室』とか読んでみて欲しい。

三島由紀夫レター教室 (ちくま文庫)

三島由紀夫レター教室 (ちくま文庫)

 

「おじさんLINE」の文法が50年前から確立していたことが分かるし、三島がそれをめちゃくちゃバカにしていてかなり痛快。 

 

九龍ジェネリックロマンス 1 (ヤングジャンプコミックス)
 

 まあまあ、悪いことは言わないから1話を試し読みしてほしい。

[第1話] 九龍ジェネリックロマンス - 眉月じゅん | となりのヤングジャンプ

巻頭カラーのあと、本文はじまって、見開きタイトルまでの7ページでもう、もう好き。ナニコレ?イケすぎちゃってない?大丈夫?もう本当に最高の漫画体験なんですが?もうこんなんドラマも映画も小説も勝てないんですが?

通勤電車でこの見開きにあたって、息をのんだ後、「あ~~~~~」って小さめの声で言ったからね。もうそのころはコロナですきはじめた電車だったよね。でももう周りに聞こえてようが構わないよ、そのくらい我慢できないくらい最高だったんだから…

恋は雨上がりのように」読んだ時、「人を好きになることの鮮やかさを描いているのに、なぜか全編を通じて失恋のことばかり鈍く思い出させてくる漫画だな」と思ったんだが、この漫画も、本編は恋に落ちるみずみずしい瞬間の連続なのに、不思議と全体のトーンが不穏。

なんなんだろう、こんなにみずみずしくて鮮やかできゅんとするシーンばっかり書いてるのに~~すご~~もう最高の漫画じゃん(語彙が死んだ)

 

酒と恋には酔って然るべき  4 (4) (A.L.C.DX)

酒と恋には酔って然るべき 4 (4) (A.L.C.DX)

  • 作者:はるこ
  • 発売日: 2020/03/16
  • メディア: コミック
 

3巻そんなにだったから買うか迷ったけど買ってよかった。

わたしも安直に今泉が好き。安直に。悔しいけど。

Say「そういうところだよ今泉」!!!!そのためだけの漫画。そういう連帯でつながっていこう。うん。

 

マイ・ブロークン・マリコ (BRIDGE COMICS)

マイ・ブロークン・マリコ (BRIDGE COMICS)

  • 作者:平庫 ワカ
  • 発売日: 2020/01/08
  • メディア: コミック
 

著者の処女作で、出版されてから数か月経つのに発売以来ずっといろいろな本屋で平積みされており、全国の書店員が圧倒的に支持しているっぽいことを感じさせられてはいたのだが、あらすじを見て「ふーん、いい感じの短編集に入ってる短編っぽい感じだな、まる1冊かけて書くことか?」とか思いずっとスルーしていた。

しかしRebuildfmとバイリンガルニュースで2度に渡ってhakさんがおすすめしていたこと、あと、熊本で立ち寄った人生最高の書店(長崎次郎書店)でも面陳されていたことからついに購入。

…殴りたいよ。ええ。今まで書店で何度となくこれをスルーしていた自分を。

買えよ!たかが700円だろ!買え!都内のラーメン1杯にも満たない金額だぞ!

ない頭で躊躇してないで買えバカ!(cv.天堂先生from恋つづ)

私の中で、「どこにでもある漫画」と「そうでない漫画」を分ける基準の一つに「シリアスとユーモアのバランス感覚に優れていること」というのがあるんだが、これはまさにそのバランス感覚が素晴らしい。

人生において重大な局面、切実なこと、どうしようもなくやるせない気持ちというのは、それが当事者にとって差し迫っていればいるほど、客観視した時のばかばかしさとか滑稽さと切り離せないと思う。

だから辛くて悲しいお話をただただ「辛いよ~悲しいよ~」って主人公が吐露しているだけの作品はどうも自己陶酔的というか、いまいち立体感と言うか、雰囲気のないものになってしまうんじゃなかろうか。

主人公の友達が親の虐待を苦にして死んじゃったから、親のとこから遺骨を奪って後先考えず旅に出ちゃうなんてめちゃくちゃなわけで、それを主人公目線の感傷とか感情のアップダウンに読者を引き込みつつ、ちゃんと主人公を「めちゃくちゃなことやってる完全ヤバい奴」として揶揄する視点も残しているのが見事な点…なんだと思う…

評判に違わずめっちゃ良い漫画だった。読むべし。

 

蜜蜂と遠雷(上) (幻冬舎文庫)

蜜蜂と遠雷(上) (幻冬舎文庫)

  • 作者:恩田 陸
  • 発売日: 2019/04/10
  • メディア: 文庫
 
蜜蜂と遠雷(下) (幻冬舎文庫)

蜜蜂と遠雷(下) (幻冬舎文庫)

 

映画を観て、トラウマレベルに胸が震えたので原作も購入。

もう映画のレビューに書いたことがほんとにすべてなんだが、少なくとも、楽器(たぶん特にクラシック)を習ったことある人は全員映画観て。私は4歳~ヴァイオリンを習ってたので、刺さりすぎて死にそうになりました。

人前で演奏する時の、舞台裏の刺さるような静けさ、恐ろしく冷えた指先を手袋で温める時の気持ち、袖で感じる客席の気配、舞台に立った時の目が潰れそうな照明の眩しさ、力の抜けた身体でするお辞儀、そういうのを知っている人は、全員観てください。

↑観た直後にヤバい熱量で書いた

小説は、映画の衝撃の後に読むとかなり親切設計で、普通に読みやすくて面白いな。という感じで終始読み通してしまったが、この長さでそう思わせてくること自体異常なことなんだろう。

実は私、恩田陸の小説を人生で読み通せたことが一度もなくて(たぶん人生で3,4回トライしたが、なぜかいつも途中でくじけてしまう)、この本で初めて恩田陸の作品を読破した。感動。 

「コンクールの成績良いやつだいたい勉強もできる(音楽教室で出来が良かった子、不思議なくらいみんな有名私立中に進学した。門下で一番上手かった人、しれっと東大入った)」とかクラシックあるあるにガクガク頷いたりしているうちに読み終えてしまった気がする。本筋じゃないのに…。音楽を1ミリも知らない自分になって読みたい。

天才は、ピアノという箱から取り出すべき音楽が分かっている。だからそこに座って、ただ音楽を取り出してあげるだけ。というような描写があるが、めちゃくちゃわかる。上手い人が演奏する姿を見ていると、なんかその動作ひとつひとつに全然恣意性を感じない。こうしたいからこうしました、みたいな意思と離れたところで楽器に触れているように見える。何なんだあれ。

私なんてめちゃくちゃ眉を上げ下げしながら弾いちゃうよ。まじでヘタクソのやることだわ。恥ずかしいぜ

ちなみに映画を観てから安直にプロコフィエフのピアノ協奏曲3番にハマりましたけど、いくつか聞き比べた中ではポリーニが一番好きだった。

このとき25歳。ヤバ。クラシックオタクの父に共有したら、「痛快ですね」とのコメントが返ってきたが、本当にそれ。プロコフィエフがこんなに明瞭で気持ちいいことある?普通もっと(悪い意味で)意味ありげに弾いちゃうでしょ。はあ。好き。


 

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい

  • 作者:大前粟生
  • 発売日: 2020/03/11
  • メディア: 単行本
 

人生最良の書店・長崎次郎書店でドドンと面陳されていたので買った。

大前粟生氏は界隈で異様に評価の高い文学ムック「たべるのがおそい」にも書いていたようで、しかも河出だし、これは絶対に良いやつじゃん!と思って買ったら最近島本理生が書評を新聞に書いたり、Amazonで売れ筋商品に上がったりしてきていてすご。長崎次郎書店すご。 

う、うおお~、これは確かに、「あ、こういう小説あるよね、これ系ね」じゃないやつ!!!(=とても良い、好き) 

たぶん、この本には、フェミニズム小説というラベルを(他に貼ることのできるいくつものラベルとともに)貼ることができると思う。たぶん、フェミニズムが世間的に少しずつ注目されるようになったのに伴って、最近のエンタメ界隈でも自然と取り上げる人が増えている。

読むとやや気疲れするので好んで読んでいるわけではないのだが、流通量が増えた分自然と触れることが多くなったフェミニズム小説なのだが、そこで描かれる構造として「傷ついている女性&女性を傷つける男性=立ち上がれ女性」はたぶんもう古くて、ほぼ見かけない。

で、「傷ついている女性&女性を傷つける、実は傷ついている男性=みんな辛い」まで行っているやつに最近はよく出会うが、この本みたいに「傷ついている女性&女性を傷つける、実は傷ついている男性←を見て傷つく男性=張本人も辛ければ、その構図から抜けたメタ的視点に立っても辛い」まで視座を上げて書いている話(説明が下手)は初めて読んだ。あ、新しい…。

それを静かに飄々としたトーンで書いているのがすごく良い…

たぶんずっとこのテーマで行くわけもないだろうから、次作が楽しみ…

私は同時収録の「たのしいことに水と気づく」が一番好きだった。

様々な出来事があり、感情の起伏があり、その上で「どうしようもなく日常」という印象に落ち着くお話がめちゃくちゃ好きなので…。

 

明日また電話するよ

明日また電話するよ

  • 作者:山本 直樹
  • 発売日: 2008/07/17
  • メディア: コミック
 

自選短編集。漫画。

とにかくタイトルが本当に好きで、初めて書店で見かけた時(たぶん1年以上前)から4日にいっぺんは頭の中をリフレインする レベルだったんだが、1200円って高くね?と思い買えていなかった。だってAmazonレビューも少ないし。

が、最寄り本屋にあるのを見つけてしまいついに意を決して購入。帯文西加奈子だし。(西加奈子読んだことないけど)

ん~~~~~エロいやつだったか~~~~~~~~~~!

短編集なんですけど、私の記憶が正しければ全編致していますね。(急にです・ます調)

最初の数編はあまりの毎回致しっぷりに面食らったが、途中から濡れ場に目が慣れてきて3分の1を過ぎたあたりから話の本筋にちゃんと集中できるようになった。

AVのモザイク加工をする仕事の人が感覚麻痺して何も感じなくなる過程ってこういう感じだろうか。たぶん違う。そこまでの境地ではない。

で、途中から読めるようになった話の本筋の方は、とっても良かった。

ひとつひとつがかなり短い話で、台詞ひとつひとつも文字面だけだと全然なんにも説明しないし、意味深でもないし、本当に平易な言葉の単純な会話で、なのに構図とか、表情とか、間の描き方とかで全体として心に残るような話になっている。凄い。

こういう漫画描きたいと思って、みんな描けないんだろうな…と思ったりした。

「お、意味ありげな台詞(/画)」と思うってことは物語に没入できていないってことだから、それがない漫画って凄い。たぶん。

あと、いちいちタイトルがめちゃくちゃいい。(下記)

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みはり塔
ぽつん
泳ぐ
コールド
渚にて
アナログ温泉
テレビばかり見てると馬鹿になる
肉彦くんとせんせい
Cl2
呼ぶ声
明日また電話するよ

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自選集だから作品ごとに著者の解説がついているのもいい。

これ、20年前~10年前くらいに描かれたものを集めているらしいというのも驚き。全然古びてない。たしかにスマホとかは出てこないけど。

これを読むと、最近の色んな作品、これの焼き直し説出てくる。ネット上で似たようなやつ結構見たことある。

漫画もそうだし、短編映画とかでもこういうことやろうとしているやつ結構ある気がする…。それならこれを読んでおけばいいな…と思ったり。

 

 

9300字~~~!目が限界。

引きこもり中の暇つぶしになれば幸いです!!!!!

興味あるものあれば読んでください!!!そして語ろう!!!!!!!!!!!