メモ

記録

5月の読書月記

5月。まだまだ自粛の1か月。
前半は、GWをいかに充実させるかに注力(前回の記録参照)。
後半は、付き合っていた人と別れるべきか否かをだらだらと考えていた(結局6月頭に別れた)。
コロナ破局とかコロナ離婚とかはよく言ったもので、この状況って既存の人間関係の清算を促す効果が大きすぎる。じっくり考える時間がありすぎ。冷静に比較検討する余地ありすぎ。勢いとか思考停止を許さなすぎ。

 

大童澄瞳 『映像研には手を出すな!』 ②~⑤
やっぱり漫画は一気読みが至高。浅草氏のサイズ感が可愛くてたまらない。
映像研は同人界隈もかなり盛り上がっているので最高、ピクシブに可愛い絵がたくさんあるし面白漫画も沢山ある。最高。

 

愛のことはもう仕方ない

愛のことはもう仕方ない

  • 作者:枡野 浩一
  • 発売日: 2016/06/15
  • メディア: 単行本
 

枡野浩一 『愛のことはもう仕方ない』
熊本の長崎次郎書店でジャケ買いしたやつ。
離婚して息子と会えなくなった歌人の無気力日常を綴った風私小説(たぶん)。見え隠れするうらみつらみ。
タイトルがとても良い。本文では最後の方に出てくる。
それは著者が知り合いの作家に告げた言葉らしく、
「彼女が『結婚未遂』した男性との『披露パーティー』に私も出席したのですが、しばらくして別の男性を好きになったと告げられたとき咄嗟に口から出たフレーズでした。結論が出ていることを人はいつまでも悩みたいものですね。愛のことはもう仕方ない。どんな出会いも。どんな別れも。もう仕方ないのです。」

誰にも、「愛のことはもう仕方ない」という旨の感覚が頭に過ぎることがあると思っているのは私だけか?
誰にも肯定されなさそうで、口にできたことがないのだが…

 

透明な夜の香り (集英社文芸単行本)

透明な夜の香り (集英社文芸単行本)

 

千早茜 『透明な夜の香り』
フリーターだった主人公の女性が、どんな香りも再現できるという伝説の調香師のもとで事務員として働くことになって…と始まる話。
調香師は多種多様な植物に覆われた美しい洋館に住んでいて、ひっそりと色濃く秘密に包まれており、何故か粗暴なバディ(職業:探偵)にだけは心を許しており…という、“設定”好きは欣喜雀躍必死な設定に満ち満ちた物語である。
千早茜は、曖昧なものを曖昧なままに描こうという覚悟が強く感じられるので好き。
伏線を綺麗に回収したり、大団円!みたいな結末を作ったりしないところに誠実さを感じる。(その分後味悪かったり余韻が重たかったりするが)
著者曰く、この本はエンタメ小説を書こう!と思って書いたとのことで、確かにいつもよりサクサク読めて、ギャグシーンもあり、素直に面白いな~と思った。
でもその中にも、著者の持ち味である生臭い人間の描写(本当にいつも人間の“臭い”が立ち上るように描くのだ彼女は)が息づいていて、読み終わった後の余韻もいつもと変わらずで、満足感高かった。

 

まるごと 腐女子のつづ井さん (文春文庫)

まるごと 腐女子のつづ井さん (文春文庫)

 

つづ井 『まるごと 腐女子のつづ井さん』
たとえ単行本を持っていても、文庫化したら買う。それがファンにできるたった一つのこと。
友達に貸したら全然返ってこない。

 

異なり記念日 (シリーズ ケアをひらく)

異なり記念日 (シリーズ ケアをひらく)

  • 作者:齋藤陽道
  • 発売日: 2018/07/23
  • メディア: 単行本
 

齋藤陽道 『異なり記念日』
みんなの手話という番組で齋藤陽道氏を知って、それで買った本。
ろうの夫婦と、そこに生まれた聞こえる子ども。聞こえる子どもが、聞こえない父母と「対話」しながら育っていく様を丁寧に綴ったエッセイ。
手話も日本語と同じように1つの言語であって、誰かの母語になりえるもので、つまりそれはアイデンティティで、という、考えてみれば普通なんだけど、それを丁寧に追体験できるような本。
手話で話す人から、音声で話すというのがどう見えているとか、私にとっては非常に斬新な視点に満ちた本だった。最近で一番読んで良かった本だなあ。
語り口が優しすぎるので、コロナ関連で刺々しい言葉に触れまくって疲れた心が癒された笑
叔母に薦めたら、読んでくれて、「こんないい人いる!?」って驚いてた…笑
ちなみに叔母は私の知り合いの中で三本指に入るほどの良い人。

 

まだ温かい鍋を抱いておやすみ

まだ温かい鍋を抱いておやすみ

  • 作者:彩瀬まる
  • 発売日: 2020/05/14
  • メディア: 単行本
 

彩瀬まる 『まだ温かい鍋を抱いておやすみ』
新刊が出たらかならず買う作家。新作は食べ物をモチーフにした短編集。
自分の母親の好物を知らない、という話が出てきて、確かになあと思った。たぶん、栄養バランスや、家族の好き嫌いを考慮するだけで手いっぱいで、自身の好物を献立に反映する隙が無くなってしまうんだろう。
思わず母にLINEして、「好きな食べ物は?」と訊いてみたら、「おいしい前菜の盛り合わせとか、色んなものを少しずつ、というのが好き」と返ってきた。要するに自分じゃ作れないやつってことですね。よくわかりました。

 

矛盾社会序説 その「自由」が世界を縛る

矛盾社会序説 その「自由」が世界を縛る

  • 作者:御田寺圭
  • 発売日: 2018/11/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

御寺田圭 『矛盾社会序説』
随分前に買った随筆集?コラム集?みたいな本。社会的・政治的考え方の相容れなさから、付き合ってた人と別れようか迷っていたので、何らかの知見を得られるかしらと思って手に取った。
世の中は「かわいそうランキング」で回っているんだ、という主張を元に、世の中の諸々に切り込む、という建付けの本だった。
地球の裏側で苦しむ難民の子供たちに心を痛め、喜んで募金する人たちが、そこらへんを徘徊しているホームレスや、無職の大人に目もくれないのはなぜか?それは、世の中にはかわいそうランキングというのがあって、後者はかわいそうランキング下位の存在だからである。的な話。
社会学の本なのかなと思って買ったら、コラム集的な感じだった。めちゃくちゃ筆が乗っている感じで、淡々としていない。多角的な見方をして事実を述べるというよりは、わりあいセンセーショナルな物言いをしてゾクゾクさせてやろうという意気込みを感じる本。
個人的には賛同しかねる意見もあったが、まあコラム集だと思えば、そんなもんかと。ここに書いてあることが世界の真実だと思って心を燃やすような人がいたら怖いなと思った。

 

松虫あられ 『自転車屋さんの高橋くん』②
高橋くんサイコー。
ベタだけど、自分の友達に優しい人って良いよな…。

 

はらだ 『ワンルームエンジェル』
本屋で平積みされていたので購入。退廃的な生活を怒るむくつけき男(求職中)のもとに、羽の生えた(物理)美少年が現れて…その正体は実は…という。
BL要素はかなり薄めてある感じ。全体的に淡々として静かな印象。上品。深夜に一気読みした。
こういう話がぶっ刺さりするほど疲れてはいなかったな、と自分の心が健康であることを確認。著者の別作品をPixivで読んだが、凄まじくハイテンションで全ページ下ネタとギャグに満ち満ちており、高低差で耳キーンなった。

 

 持田あき 『初めて恋をした日に読む話』⑪
遅々として話が進まぬ。春見先生の服がいつもかわいい。Ameri vintageのやつらしい。

今一番好きな漫画雑誌(FEEL YOUNG)での新連載が始まったのが胸熱すぎる。

好きな作家がどんどん競演しだすよあの雑誌で。定期購読まであるよ。。。

 

レベルE 上 (ジャンプコミックスDIGITAL)

レベルE 上 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

冨樫義博 『レベルE』上
SF短編集的な。
少年漫画好きの知り合いに薦められて購入。ハンターハンターは3巻で挫折したが、これはちゃんと最後まで読めた!嬉しい!(上下巻で完結)
この人って絵が上手いんだな。そして、半端ない発想力。底知れなくて、決して枯渇しない感じがする。巨匠は巨匠たるゆえんがあるんだなあと思った。

 

流浪の月

流浪の月

 

凪良ゆう 『流浪の月』
両親に捨てられ絶望した少女・更紗を誘拐し、数日でお縄になった青年・文。世間は文を小児性愛の異常な犯罪者としてこきおろしたが、実は更紗にとって文は自分を助けてくれた人という認識。誘拐されていた数日間も、特に危害を加えられることもなく淡々と自由に暮らすことができた、甘美な思い出となっていた。大人になった更紗はDV気質の男性に絡めとられて暗澹たる日常を送っていて(←このくだりがこの手の小説あるあるすぎて眩暈がした)、するとある日、文と再会して…という。
平易な文章、伏線回収、確かに本屋大賞~。という感じ。
個人的には、退廃的な家庭像を読むなら江國香織が最高だし、DV男と依存を読むなら島本理生が良いし、末恐ろしい異常な関係性とかなら川上弘美…と思ってしまった。
個人的には、セクシュアリティの話を書くならもうちょっと深い覚悟を感じさせてほしかった。。割とあっさり過ぎ去って愕然。
まあでも如何にも映像化に向いてそうな感じ。文は華奢な美男子の設定だし。