メモ

記録

物質的な豊かさ、普通の口論、エストニア

6/15 くもり

雨だっていうから浴室乾燥でタオル乾かしたのに!くもり。

仕事でなんとなくモヤっ……とすることがあり、そのままずるずるずると落ち込む。

この社会、資本主義社会のくせに、物質的な豊かさは本質じゃないって言いやがる!助けて!グレート・ギャツビー(?)。ギャツビー?ということは死ぬしかない。殺してくれ。

昨日、「過渡期なんだよなぁ、と思う」と言っていた友人の声がふと過ぎる。ただの(?)資本主義社会よりは、きっと良くなっているのかな。

強くなりたいと思っていた。でも、強くなることは、加害者になる可能性を高めることで、誰かに耳を傾けてもらいにくいことを意味する……ような気がして落ち込む。身勝手。強い者の意見は、耳を傾けずとも社会の仕組みに反映されている。聞かれる必要などないのである。わかる。私は恵まれている。それはそれとして仕事がきつい。


6/16 くもり?(外に出ていないので分からず)

22時、大豆田とわ子の最終回を泣きながら観ていたら、上司から電話がかかってくる。

明日の予定だった私主催の会議を、昨日、金曜日に延ばしたのだが、やっぱり繰り上げて明日やりたいのだという。明日の、朝9時から。

ドラマ視聴を邪魔された恨みから、従順に振る舞うことは難しく、つい電話で普通の口論になる。

私「それは前日の22時に決めることではないと思います。資料が何もできてません」

上司「こないだまでは明日やる予定だったじゃん。もし明日だったらどうするつもりだったの?」

私「何ですかその仮定は。昨日話し合って、金曜になりましたよね?昨日、水曜日だと都合がつかない人がいるから無理だねって話しましたよね?」

上司「でも、元々は水曜日だったじゃん」

私「いや……もういいです、分かりましたから」

上司「じゃあいいよ明日はナシで」

私「いや、いいです、資料作りますよ、もういいです」

上司「いやいいよもう」

普通の口論すぎる。ビジネスの場で普通の口論するなんてことある? 9歳年上の上司とこのレベルのケンカ、悲しすぎる。


6/17 くもり

サントリーホールN響の定演を聞く。

序曲的な位置づけで最初に演奏された、ペルトというエストニアの作曲家の、スンマ(弦楽合奏版)が良かった。エストニア・日本友好100周年らしい。

演奏会は良かったが、隣の席の紳士がだいぶ癖のある人物で割と厳しかった。

ニールセンの不滅を聞きながら、自分が合奏も合唱も1年以上していないことに気づき、演奏を楽しむことそっちのけで、演奏しているプロの人たちに対する羨ましさが込み上げてくる。

音楽の渦に飲まれて、自分が出した音とそれ以外の音が溶け合った時、思考と感情より先に笑みが込み上げる瞬間、勝手に顔が笑っちゃうアレ。アレが恋しい。

古い油、いろいろな感想、特別扱い

6/10 晴れ

色々なおかずを作って食べた。マフィンも焼いた。もらいもののえごま油だけでは足りなくて古い油を混ぜたら、ばっちり古い油の匂いがするマフィンになった。

夜中、久しぶりに『違国日記』の4-7巻を読み返してちょっと泣いた。いい漫画だなあ。でもなんか、もはや、かけて欲しい言葉をかけられすぎてる感じが微妙に居心地悪い。危険ドラッグの域なんだよな。信仰は危険だからな。もうちょっと自分から距離のあるものを見聞きしないとなと思った。晒さないと……なんか、難しいもの、分からないものに、自分を。


6/11 くもり

今まであまり話したことがなかった、天然キャラでみんなから愛されているチームの先輩から仕事の問い合わせが来る。Slackの書き出しが「もしもし。こんにちわ。」の人初めて見た。きゅんとくる。そのまま、流れで雑談。お住いの方面が私の実家と近いという話に。

最近、激情型幼なじみもそのあたりに家を買ったので、私も家買って月々の支払いを減らそうか迷う、と話す。すると、「私は、その幼なじみの方と気が合いそうです。」と言われる。

「単身でマンションを買うことについて、いろいろな感想に反応するのが面倒なので、あまり人には言ってませんが」と言われて、さらにきゅんとした。「いろいろな感想に反応するのが面倒」という諦念?割り切り?冷たさ?に興奮した。天然キャラで愛されていても、Slackの書き出しが「もしもし。こんにちわ。」でも、生きてきたぶんちゃんと大人なんだよなと思った。


6/12 くもり

まあ会社員だしな……それで仕事が楽になるなら、と思って社交の場に顔を出した結果、リアルに47回くらい「おい殴るぞ」みたいな衝動に駆られて明らかに健康に良くないと感じたので本当に反省した。こんなことで楽になる仕事なら苦しいままでいいです。

いちばん不可解だったのは、

「やっぱ良い相手を見つけるためには、気持ちとしてはバイって感じで行きたいわ」

「てか、女性って実はバイの人多いらしいですよ〜」

「まあ気持ち良ければなんでもいいからな〜」

という女性同士の会話。セクシュアリティは気持ち(?)とかの問題ではないと思われるのだが。衝撃のあまりしばし思考停止したのち、「最低の人ですね〜あはは」とコメントして終わった。むろん私の発言など誰の耳にも届かず場の空気は流れてゆく。

重ね重ね、あらゆる観点から見て本当に反省した。

帰宅して着ていた服を全て洗濯し、すぐに風呂に入っていつもよりも入念に身体を洗った。


6/13 くもり時々雨

友人と台湾料理を食べて、JUNK HEADを観る。

最近の出来事とか、頭に浮かんだよしなしごとについて話し合う。

ことさらに聡い人なので、そういう人にたいしてなにかを偽りたくないし、適切に自分をさらけ出してわかって欲しいと思うのだが、深く掘り下げて正確に話そうとすればするほど、事実から遠ざかっていく感覚があり、どうにも言葉に詰まる。壊れるほど愛しても3分の1も伝わらないのだね………(これは完全に違う話)(でもちょっとそういう話もした)

途中、友達と恋人は別枠か? 親密度について比較可能か?みたいな話になった。最終的に、「まあでも、わたしはいま彼氏がいて、自分のことを特別に思ってくれている人がいるということや、その人に優しくしてもらうことで満たされるものはかなりある」みたいなこと(じゃっかん、記憶が曖昧だが)と彼女に言われた。それはそう。特別扱いしあうこと、すごく素敵なことだと思う。

彼女と色々話した内容も、JUNK HEADも情報量がわりと厳つく、帰り道は呆然とする。

薬局でパックと除光液を買った。

湯桶読み、素人耳、胸と鎖骨の間の痛み

6/5 晴れのちくもり

職場の人ふたりとランチする。遅刻。

なんとなく顔立ちと声と話し方が好きだなと思って声をかけた後輩が、じつは同い年だった。香水沼の人だった。とてもいい匂いがした。時々、熟語を湯桶読みするのがなんかチャーミングだった。

後輩「香水はいくらあっても場所取らないですよ。"そこめん"の大きさなんてこんなもんだし……」

私「ていめん(底面)のこと??」

……

後輩「彼の"ことせん"に触れるようなことを言っちゃうとどうしてもケンカに…」

私「……きんせん(琴線)のこと!?」

後輩「あ〜!いま迷ったんですよ!字は分かってたんですけど!あ〜!そっちか〜」

私「さっきからすごい湯桶読みするじゃん」

差し出がましいかもしれんが、基本的に熟語は音音読みのことが多く、湯桶読みは割とレアだから、迷ったら音音読みしてみては? と伝えた。「ゆとうよみ」って四半世紀ぶりに口にした気がする……



6/6 雨のち晴れ 

激情型幼なじみと鰻を食べ、山種美術館に行き、カフェでお茶をする。

帰宅後、うとうとしつつ『あの子は貴族』を一気に読んだ。

先に読破していたTwitterの知人と感想を話し合う。我々はバックグラウンドにある程度の共通点がないと近しくなれないのか?そんなのは嫌だ!的な話をする。大いに盛り上がり、楽しかったのだが、広いネットの海の中で彼女と私もまた、おそらくはバックグラウンドがそこそこ近しいのであった。〜完〜

先々週あたりにソファの角にごりっとぶつけた胸と鎖骨の間あたりの筋肉?がずっと痛い。しかも、痛い範囲が広がってきてる。そろそろ湿布を貼るなどの対策に打って出るべきか(今の今まで何もしてこなかった)。



6/7 くもり

ついに胸と鎖骨の間に湿布を貼った。

2年前くらいに肋間神経痛になり歩くのも苦痛だった時に病院で貰ったやつ(期限切れ)。とても臭い。でも市販のより効き目があるはず。臭は力なりと信じるしかない。

CDTV星野源とV6。番組を通じてボーカルがずっとちょっとだけ後ろに聞こえる。あとエフェクト?リバーブ?がかなり浅く、やや間が持たない感じ。Twitterでげんの喉を心配している人がいたが、たんにミキシングの塩梅なように思った。素人耳の感想。

生放送のPA……想像するだに胃の痛くなる、すごい仕事だ。プロは偉大。本当にいつも偉大。たくさんお金を貰って欲しい。

老後、書店員もやりたいけど、叶うならライブハウスのPAもやりたい。大学のときすこしかじったのが楽しかった。一度ちゃんと勉強したかった。次の人生で頑張りたい。



6/8 くもりときどき雨

私が寝ている間(朝9時)に、急遽お客さんが朝10時からの打ち合わせを設定していて、かなりピンチだった。打ち合わせがないと思って就寝すると油断していつまでも寝てしまう。そして夜になって泣きを見る。休息と労働も朝三暮四。世の理。

激情型幼なじみが昇進祝いにアマン東京のバスソルトを送ってくれた。LINEで「わざわざありがとう」とお礼を言うと、「めでたいから……」と返ってくる。かっこいい。

この間LINEで話していたとき、彼女から「自分の選択は自分だけのものな代わりに、責任負えるのも自分だけだから、好きにしたら良いし外野に何言われても気にする必要ないよ」と言われて、この人はものすごく魂が強靭だなと思った。たのもしい魂の持ち主。昔からそう。彼女は最近マンションを買ったので、引越し祝いを今から考えておかねばな……難しいな……欲しいものは自分で手に入れる女だからな……

どのくらい欲しいものは自分で手に入れる女かというと、「本当に欲しかったらどんな手を使ってでも手に入れるでしょ、違うの?」と言って彼女もちの男を次々ものにしたり、猛勉強して大学の学部を途中で変えたり、五大商社の内定を3つか4つ手に入れたり、はたまた採用活動していないはずの会社の社長にいきなり直談判して雇ってもらったりする。

湿布の在庫が切れたので、胸と鎖骨の間の痛みは自然治癒を待つしかない。親指の爪が二枚爪になっていて鬱陶しい。質の良い爪切りが欲しい。

肩透かし、加害、愛車奪還

5/31 晴れ?のち雨?雷雨?のち晴れ?

前々から準備していたプレゼンを終え、完全に肩透かしのリアクションを食らう。手応え皆無。人間不信になった。

とりあえずワインと燻製鶏ハム(もらった)とフォカッチャとトマトサラダ(つくった)をかっくらって、俺の家の話 8-10話を観終えた。素晴らしかった。

眠れないのでマニキュアを塗りながら、「Special 理想の人生」のシーズン2を観る。

登場人物、すぐに恋に落ちすぎだ。いや欧米ってそんなもん?でもまあ面白い。

『屋上で会いましょう』を読み進める。おもしろい、けど、斎藤さんの翻訳が恋しい。来月にはチョンセランの新刊が出る。とても楽しみ。韓国ではエッセイも出版されたらしい。邦訳が待たれる。


6/1 晴れ

昨日の肩透かしプレゼンが一応合格ラインを通過していたことが分かり朝から安堵する。

のち、出勤。おかげさまでそれなりにやる気を持って仕事に取り組めた。

おめでたい感じを謳歌しようと思って帰り道に焼肉を食べる。

Twitterでゴッチ(アジカンの)が「調子が悪かったら休んでいい。家族や友人や恋人のために、自分の健康のために、休んでいい。そういう社会のほうが豊かだと思う。「迷惑かけるな」という言葉が最初に投げかけられることの貧しさ。」と話している。めちゃくちゃ正しい。私もそう思うし、そうしている(休みたい時には、休んでいる)。

でも、なんというか上手く言葉にできないけど、それなりに仕事が好きで、仕事を続けて、偉くなることを目指すというのは、いまの社会ではもう、それ自体が加害になる気がする。

暇と多忙のムラが激しい仕事なので、ネットサーフィンしてるだけで1日が終わった日もあれば、連日夜中まで仕事する羽目になり休みたくても全然休めずパワポを作りながら感情とは別のところで泣けてきた日もある。

で、後者の経験を乗り越えられてしまったことって、普通に加害なのかもしれない。ゴッチの発言からこの結論に至るには2,3段階むりやりな論理を埋めないといけないが、とにかくそんなようなことを思った。暗い気持ち。


6/3 曇り

朝起きて、昨日の夜中に上司から怒られメールが届いていたことが分かる。

私が送った低レベルな質問に対し、冒頭から「指摘したい点が多すぎて、何から指摘すればいいか。。」と抑えきれない怒りがにじんでいる。

微妙に怒られる覚悟はしていたので、反省するものの、久しぶりのあまりにテンプレな怒られ方にむしろテンションが上がる。

謝罪と補足と追加質問の返信を送った。

遅めの昼食の後、自転車を奪還しに行く。

1か月前、駅前に停めていたら撤去されたので、集積場に取りに行ったが見つからず、ああ盗まれたんだなと思っていたら、先週、警察からハガキが届き、「撤去したから取りに来い」とのこと。先日訪れたのとおなじ集積場にあるらしい。いや、こないだ集積場に行った時は見当たらなかったのだよ……本当なのだよ……

まあいい。愛車は5000円を支払って無事に奪還した。(本当にこないだからずっとここにあった?)(あと、何故か分からないがベルを破壊され、持ち去られていたので、物言わぬ愛車となった。悲しい。)

そのまま、最近薦めてもらった駅の反対側にあるパン屋を目指したが、1か月ぶりの愛車は当然タイヤがべしゃんこで、尻に地面の凹凸を実にダイレクトに伝えてくる。

丁度よく自転車屋がないだろうかと思いながら漕いでいたら、あった。天佑。店先に空気入れ。「感染症対策のため、空気入れはセルフサービスとなっております。ただし、初めてこの空気入れを使う人は店員から使い方の説明を受けてください」と張り紙がしてある。店内で自転車修理に勤しんでいる店員さんに「すみません、これの使い方を教えてください」と声をかけたら、「いま説明してる時間ないのでやっちゃいます」とかなり早口かつ無愛想に言われて空気を入れてもらう。タイヤ2つに、それぞれものの2秒ずつ。申し訳なさを味わう余裕すら与えられなかった。まあでも、ラッキー。

そのままパンを買って、道具屋と八百屋と肉屋にも行った。

風を受けながら商店街をすいすいと進むうち、とても気分が良くなってくる。謎の全能感。古い嵐の曲を聴く。なんだかんだ、Timeは良いアルバムだと思う。

今日はいい日に出来たぞと満足しつつ帰宅し、1ヶ月ぶりにマンションの駐輪場に自転車を停め、………この自転車を買って以来初めての自転車ドミノ倒し!計6台倒した。アンラッキー。まあでも、何はともあれ自転車のある生活が戻ってきた。ラッキーの収支はプラス。

乾杯(オルゴールver.)、ガレット・デ・ロワ、ホモソ俺

5/20 くもり

歯医者で検診。オルゴールver.の「乾杯」(長渕剛)がかかっている。

か〜んぱ〜い いま きみはじんせいの おおきな〜おおきな〜ぶたいに〜たち〜

……それ以外分からない。大きな舞台に立ったあとどうなるのかな? やはり乾杯するのか? いやでも乾杯はサビの最初で済んでるな。


5/22 くもり時々雨

三軒茶屋の駅前で「ガレット・デ・ロワ!!!」と叫ぶ。ガレットブルトンヌの分厚くて大きくて中がもちもちのやつをなんと言うんだったかずっと出てこなくて、数時間悶々としていたがついに。

「ガレット 分厚い」と調べても分厚いガレットの画像がえんえん出てきてしまい、「ガレット もちもち」と調べるとじゃがいものガレットの画像がえんえんでてきてしまうのでキレそうになっていた。良かった。


美味しいものに詳しい先輩と高い寿司へ。

ゲンガッキーの話になるとつい、「同業の優しい年上にクラっときてしまうの悔しいよぉぉお(新垣さんがそうかは知らないが)」とカフェのテーブルをガリガリ引っ掻いてしまった。完全にやば女と化した私の向かいで彼は「撮影してるとき付き合ってるのに付き合ってないふりするの楽しかったろうな」とヘラヘラしていた。穏やかがすぎる。でもまあ、それはそうだろうな。


5/27 雨

母のワクチンを予約しようとするも、本日もクリック戦争(なのだろうか……)に敗北。そして、ふて寝。

雨の日に限って、洗濯の機運が高まる。

タオルケットとタオル類を洗い、それぞれ浴室乾燥と、除湿機で乾かす。

夜おそく、目上の人から「じっ、自分で調べてみては?」というかんじの質問が来てしまう。しかしそれを言えるほどの権力はなかったので謹んで調査し、回答。

こういう出来事に見舞われないためには、やっぱり偉くならないといけないのだろうか?島耕作マインドが必要なんだろうか?ホワイトカラーゴリラになるしかないんだろうか?

どちらかというと仕事は好きだけど、仕事の好きな部分だけを出来るだけ多く享受したい。自由になるには、何が必要?お金?権力?才能?技術?

そもそもこの考え方自体マッチョイズムにとらわれているんだろうか……


5/29 くもり

昼前に起きてネットサーフィン。

洗濯したソファーカバーを付け直す。かなり苦痛。


14時頃、古本屋に本を売りに行く。『クレール』が半額で売られていて買うか迷うが、微妙に心が疲れており、35歳の自立した女性が主人公の作品を読む気分にはならなかったので見送る。


昨日、マネージャーや上司と一緒に、転職する後輩の代わりに、私のチームに入れるメンバーの面談をした。そこでのことを引きずっている。

大連から来た彼は私より2つ上で、ものすごくスキルフルな人だった。やる気に満ち満ちていて(アサイン面談でやる気ない感じの人も珍しいが、それにしても、想定の10倍はやる気満々だった)、こちらが1質問すると10、ていうか100くらいの分量で返事がくる。具体的には、10秒の質問に、3分くらいで答えてくれる感じ。ということは100はないか、18か…当然、もはや私の質問とは関係ないところに着地する。

事前に確認した経歴書の文章の雰囲気から想像はしていたが、わりあいくせのあるイントネーションで、しかも猛烈に速い。かつ内容がものすごく詳細。面食らって相槌を打つのも忘れるほど。

面談の後、マネージャーに「どう?やっていけそう?」と尋ねられ、「いや、うーん……………」と絶句してしまう。

「スキルは十分じゃん」と言われ、「それは本当にそうです」と返す。それは本当にそうなのだ。

「でもコミュニケーションが………」

「まあねえ、でもチャイナから来た開発(プログラミング)強い人ってあんな感じだよ、すごい勢いで語ってくれる」

「うまく話せるでしょうか……お客さんとも……」

韓国出身の先輩が、お客さんに「喋り方が変」と言われた話を思い出す。彼女はぜんぜん流暢に、さっき面談したひとよりもはるかになめらかに日本語を話すのに。というか、そもそもが不適切な発言だ。その話を聞いた時わたしはお客さんに対してめちゃくちゃ憤ったが、

あれ、いまなんで私この話してるんだ?今の私の、この胃の痛くなる感じはなんだ?最低じゃないか?恥ずべき不適切な思考回路じゃないか?いや、でも別に、どんな文化圏から来た人であろうと、1の質問に18で返してくるひとと働くのは大変だ……

うんうん唸りながらも、「いや、でもスキルは十分すぎるくらいだと思うので、ぜひ来てもらいましょう」とマネージャーに伝える。

「分かった分かった、お前のチームには、他にもお前の心のバディになってくれるような日本人を入れてやるからさ」とマネージャーに笑われる。

「国籍の話をしてるんじゃなくて……国籍はなんでもいいし、何人でもいいんですけど」と言い返したが、本当は、もう1人、日本語の議事メモを正確に作れるメンバーが欲しいと思っている。いや、国籍はなんでもいいというのは本当だ。ただ、日本語が流暢で、1の質問には1で返してくる、自分と似たような言語・文化的背景をもつ人と働きたいと思ってしまって、その自分に萎えた。

海外から来た友達や同僚は何人もいるけど、思えばその人たちは、みんな日本語が流暢で、私が暮らす文化圏のもろもろに限りなく合わせて振舞おうとくれている人達なんだと思う。

ところで、結局転職を決めた彼に対しても、慰留に失敗したあと、「結婚のためにキャリアを……?」と思ったし(直後に思ったことを恥じた。しかし思ったことは掻き消えない)(結婚はていのいい言い訳で、私をはじめとする職場環境に不満があり辞めたという理由も十二分にあるだろうが)。

いずれにせよ、ホモソーシャル。そもそもがホモソ国。そこに育ったホモソ俺。いや、国のせいにするべきじゃない。単なるホモソ俺。


Q. あなたは多様性を重んじるべきだと思いますか? はい/いいえ


そりゃ、いつ聞かれても左に丸つける。でもどの面下げて?どの面下げて左に丸つけるんだ、俺。

そもそも多様性というのは尊重するとかしないとかじゃなく、そこに「ある」ものですからね(当然の指摘)。

うじうじとしていても仕方ない。しかし開き直るべきではない。

新宿でタイ料理を食べていたら、カタコトの店員さんと、日本人と思しき店員さんが、源泉徴収票?を手に、税金の控除がどうこうとか給料が足らないとか揉めていて、また暗い気持ちになる。給料は適正に支払われるべき。

マルクスとYUME、結婚と無垢材

某日

仕事が若干の落ち着きを見せ、それに伴って生活リズムが狂いだした。

ベッドの中で寝起きを繰り返しながら仕事をして、ついに身体を縦にしたのが13時。

当然夜になっても眠くない。インスタのおすすめ動画サーフィンをして、いや無為な時間すぎる……と思い『人文的な、あまりに人文的な』を開いていろんな哲学書とかが紹介されているのを読んだけど、基礎となる知識がないので当然はんぶんも話が分からない。絶望。

そういや、さっき経済学で食ってる友達からマルクスがどうたらいう話をされたぞ。彼はマルクスのことを「マル」と呼ぶ。蔑称?

「経済学以外のマルクスは好き」と言われて(おい……経済学以外のマルクスってなんだ……?)と思ったが恥ずかしかったので言わなかった。しかし『人文的な〜』を読んでいたらマルクスの書いた哲学書とやらが出てきて「ははーん」となった、わかったぞ、マルクスは哲学の人でもあるっぽいな……

そこら辺のところをググろうか迷ってやめた。ググッてもまた半分も理解できないような文章にぶち当たることうけあいだったから。

5時か〜とおもったら、カーテンの隙間の空、白色。うそだ。朝じゃん。ていうか日が伸びてる。夏じゃん。


某日

会社で尊敬している(こうなりたいな、無理だが……と思っている)好きな先輩ふたりに会う。

尊敬している人に会うと、元気が出る。

ふたりとも賢くて話が面白くて異常に仕事が出来ておしゃれで気遣いがゆきとどいていて大変に素敵だった。ずっと行ってみたかったキハチ本店に行けたしね!

良い日であった。


某日

YUMEという名の赤ワインがめちゃくちゃおいしかった(備忘)。

お風呂上がり、すごく暑くて、今期初・半袖(記録)。


某日

久しぶりの出社2日目。

午後には帰宅して、転職を考えている部下の慰留面談。

フィアンセの住む地元で働くか、うちの会社でリモートワークをするか迷っている模様。

フィアンセとその親族は東京の会社で働くことに懐疑的で、夫にはホワイトな労働を求めているらしい。ならばうちは辞めるしかあるまい。しかし、彼はできればこの仕事を続けたく、ハードワークも苦ではないとのこと(嘘かも)。ならば、フィアンセを説得するしかあるまい。いずれにせよ、私に解決出来るポイントはあまりない。

「個人的な所感を述べると、あなたの人生なので好きにしたらいいと思いますよ」というコメントから入ったら、「そういうと思ってました」と笑われた。冷たいのだろうか……私は冷たい人間なのか? 落ち込む。

さらに、「結婚とか、しないんですか?」と笑われた、「しようかと思ったこともあったけど、イマココ」と答える。でもそれは未来永劫結婚しないと決めたわけではなくて……云々言うと話が逸れるので、それについては曖昧に話を畳んだ。ほんやりと残るモヤり。正解の返答が分からない。

個人的には、私なんかと話すより奥様とよく話し合って、家庭内の幸福度を最大化してくれと思ったが、組織人としての務めを果たすべく、今辞めたら勿体ないよ、とかいろいろ褒めたりして慰留した。さらに、部署の同期で、コロナ前から地方に住んでリモートワークしている人がいるので、面談をセットして、彼女からも慰留してもらう手筈を整える。

久しぶりに連絡したら、彼女はあいかわらず溌剌としていて嘘みたいに愛想がよくて、元気づけられた。

それはそれとして、疲れた。ふて寝。夜の会議に6分遅刻。


その翌日

昨日のモヤりを引きずっていたところで星野源新垣結衣の結婚を目の当たりにし、「み、みんな結婚している……!」(※全くそんなことはない)とショックを受ける。

このさきゲンがガッキーのことをなんと呼ぶのか、奥さんなのかパートナーなのか、家族なのかなんなのか、たぶん令和のスタンダードを彼が示すのをみんなが待っている。

「嫁」などと呼んだらどうしよう、逆張りがすぎて逆に興奮するかも……逆に?いやないか。

頭の中に、ずっと、無垢材の床と白い壁がひろがっていて、高い天井のマイホームでゲンとガッキーがたおやかに笑っている。自分の中の幸福のイメージ、貧相で萎えるな。

隣駅の無垢材の床の物件をずっと狙っているんだけども、絶妙に家賃が高くて手が出ないことをずっと根に持っているだけかも……


罠、約30歳の女、石けんとトイペ

某日


本当に私の友達か?と思うくらい心がきれいで清楚で可憐で優しい先輩とお昼を食べて星野源のライブ動画をみた

入会金無料で入ったヨガのジムを2年以上継続せず辞めようとしたら違約金3万とられることが分かり辞めた、という話を聞いた。

心がきれいで清楚で可憐で優しい彼女の口から「罠だよ。」という言葉が出てきてぞくぞくした。

罠。なんと彼女に似つかわしくない邪悪な響き…………


某日


化粧して鏡に映った自分をみて、なんかちゃんと約30歳の女だなと思った。

はじめてのこと。


久しぶりに好きな先輩に会ったんだけど、「長いこと付き合ってる人がいる」というのを「なんかねー、実は私、ずっと一緒にいるひとがいるんだけどね」って伏し目がちに言われて、そんなこと全然知らなかったけどもっと好きになった、自分の言葉に対して自覚的な瞬間を見るともっと好きになってしまう


某日

好きな先輩(韓国出身のギャル)とその彼氏(だと聞いていたが会った時には婚約者となっていた)とお昼ごはんを食べた。

たぶん「20代を遊びまくって過ごし、30を過ぎて落ち着いた」のひとだったと思う。背が高くて聞き上手で、彼女に対して適切に甘い態度を取り、年下の私に対しても敬語で話しかけてくれる素敵な人だった。炭水化物を沢山食べる人だった。好感。

しかし友達と友達の彼氏と3人で会った時って期待値をどこに設定すれば良いのだろう?

とりあえず会ったという事実がそこにあればよいのか?

それとも、彼氏の友達になれるよう彼氏との関係性を深めるべきなのか?(わたしは、つい友達とばかり話してしまいそこに至らない)

それとも、もっと欲を持って、たとえば他の男性を紹介して貰えるように頼むとかそういう……利益誘導した方がいいのか?

ぼんやりしていると過ぎていく時間。まあおいしかったし楽しかった。


某日

友達と3時まで電話した。人生が良くなった。


某日

初対面のひとに家賃をきかれ、嘘をついても仕方ないので正直に答えたところ、では、それが月収の3分の1ということですねという旨のことを言われて心を閉ざした。

そのあと友人から「私さー最近気づいたんだけど、彼氏と同居はじめてから石けんとトイレットペーパーがなくなってるのを見たことがないんだよね。私は一度も補充したことがないのに……」という話を聞き、あまりの尊さに返す言葉もなく頭を垂れた。

夜、雷雨。スニーカーが浸水。古新聞がないのでどうやって乾かすべきかわからず玄関に放置している。


人生がなかなか良くならない。