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「今付き合ってる人が一番好き」という人は『ナラタージュ』を読む必要がない話

島本理生がまず好きなんですけど、中でもやっぱり『ナラタージュ』が一番の名作だと信じて疑わないんですよ。いや、新作も良かったけども。

この本だけはもう繰り返し4回くらい読み返してて、途中で人に貸してる間に読みたくなって文庫版も買って今うちに2冊あるんですよ。

 

内容を端的にまとめると

内省的で多感なかんじの主人公は、なんとなく周りと馴染めない高校生活を送っていた。そんな時自分の居場所を作ってくれたのが、地味な見た目だけど思慮深くて、高尚な趣味を持ち、自分のことを特別扱いしてくれる(ような感じのする)、優しい葉山先生。

それで、その後あるきっかけから主人公は葉山先生と再会し、それはもうみるみるうちに惹かれあい、そしてギリ後戻りができないくらいのところで発覚する事実。葉山先生は既婚者でした(もう別れたって言ってたのに)!

 

 

要するに、主人公が高校生の時に憧れとか背伸びをこじらせて、好きにならない方がいい人を好きになってしまい、ずるずると何年も引きずる、という物語…

 

筆致が丁寧で読みやすくて、全体に言葉も綺麗な印象で、まあこの悲恋?がなんだか美しく感じて中高生の頃とか友達に薦めまくってたんですよ。マジ全女性のバイブル?くらいに(大げさ)思ってたんです。この繊細な揺らぐ恋心(大笑い)は全ての女性に共通すると(女子校時代の妄想)。

 

でも最近思ったんですよ!この本、共感できない人にとってはもう地獄だなって。

不幸な自分を愛しちゃう愚かな女の繰り言でしかないというか・・・

 

なぜかというと

 

主人公にとって、葉山先生は一生に一度しかいない「今までで一番好きだった人」として語られている。でも、結局主人公は他の人と結婚。なるほど。主人公の心の中で永久チャンピオンに君臨する葉山先生。

映画版のナラタージュも、キャッチコピーは「あなたは一番好きだった人を思い出す」となっている。

 

で、「一番好きだった人」ということはですよ。

条件1:複数人を好きになった経験を持っている

条件2:今付き合っている人は一番ではない

OR 今誰とも付き合っていない

 

この2つの条件が成立していないともうこの物語のコンセプトがもう全く意味不明、理解不能、よその星の出来事になっちゃうじゃないですか。

 

そこで私は身の回りの男女7、8人に「付き合った人・付き合ってない人含めて今までで一番好きだった人ってどんな人?」と聞いてみましたよ!

なお、現在の彼氏彼女の有無は問うていません。

 

そのうち、「今付き合ってる人」と答えた人は3人!(微妙な比率)

 

ひとりめ:「いいなと思った人は手に入れないと気が済まないので、好きな人とは全員付き合っている。その上で、常に上位互換を求めているので。」

→大学構内を歩いてるだけで見知らぬ男子学生に求愛されるくらいの美人なので、特殊例感はあるが…ちなみに、狙った獲物を全て射止めるタイプの彼女は「法を犯すのは流石にどうかと思うから、既婚者は射程圏外」と言っていた。

賢くて恋愛経験豊富な人は、好きになったら損をするタイプの人は好きにならないということか、、

そもそもイケメンしか興味ないって言ってたし、多分葉山先生みたいなキャラクター全く魅力的に映らないだろうな。次。

 

二人め:「前の人と付き合っているときは前の人が一番だと思っていたが、新しい人と付き合ってみたら、色々と前の人はおかしかったと実感。」

→なるほど。確かに事情を聞くと前の人はメンヘラ的な味わいのある人だった。もちろん、特に未練もない様子。人間としての優劣は、一概には言えないが、今の人を「最良」だと思えるのはとても良いこと。その方が今の相手に対して清廉潔白というか、誠実だろう。これを「切り替え」と多分人は呼ぶ。

しかし!『ナラタージュ』の世界観に「切り替え」などという概念は存在しない!

冒頭で主人公の婚約者は、「きっと君は、この先、誰と一緒にいてもその人(※葉山先生)を思い出すだろう。だったら、君といるのが僕でもいいと思ったんだ」などとのたまう。

主人公、全く切り替えられていない。そしてそれが今の相手にもモロバレ。

「切り替え」がきちんとできる人、今の相手を心から「一番」だと大切にできる人はこんな事態…残酷すぎて受け入れられません。次。

 

三人め:「(よく覚えてないけど相手の長所を色々と挙げていた。脳が惚気として認識、忘却処理。)」

→付き合いたての人間に聞いたのが悪かった。いずれにせよ幸せ期の人にこんな湿っぽい本を薦めるべきではない。

 

というわけで、「今付き合ってる人が一番好き!」という人にこの本は合わない!

 

だって「いや、妻子持ちの地雷タラシ男にいつまでも囚われててどうするよ」って突っ込んだら終わるんですよこの話…

こんな人好きになっても自分が不幸になる未来しか見えないよ〜でもなんとなく方向転換もできないよ〜というのに共感してしまう、浸りがち女のみなさん、精神的に浸りがち女の男性も含め、そういう人には読んでほしい!そういう人には、主人公の愚かさも葉山先生の残酷さも小野くんの辛さも愛すべきものとして映ると思います。

 

以上です!抜歯やだな!!解散!