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『図書館は逃走中』が良い本でした

社会人になって以来、はじめて本らしい本を読んだ。2ヶ月半小説のたぐい何も読んでなかった。これでいいのか。

 

私が社会人になってからこの2ヶ月で読んだ本

・ITパスポートの参考書(入社直後に試験があったため)

・簿記のテキスト(6月末に試験があったため。ちなみに、落ちた。また読まなければ・・)

・『たった1日で即戦力になるExcelの教科書』(まだインストラクターの言葉が響く程度には心が柔らかかった4月初週「Excelができないと云々」と言われ購入)(まだ通算3分程度しか読んでいないので即戦力にはなっていない)

 

読む価値ありまくり、必要に迫られまくりの本しか読んでいない。

本屋でバイトしてたとき、資格試験の本を買う人のことは「大変だな、可哀想」、スキルアップ!系の本を買う人のことは「こんなものに金を払うのか。果たしてスキルはそう簡単に金で買えるかな?」と見下していた(歪みきった最低な店員)のですが、私もすっかり大人になったなあ。頼もしい。

 

…これでいいのか。(再掲)

よくない。(回答)

 

ボーナスが出たから何か買おうと思って新宿のSTORY STORYに行って、あそこは本の品揃えがあんまりよくないし、レイアウトもあんまり見やすくないんですけど、でもなんとなく平積みになってた『図書館は逃走中』っていう海外の小説を買って、読んで、軽く感動したので、小説を読むのは私にとってよいことだなと改めて思いました。

 

あらすじ:

父に虐待され学校でも激しくいじめられていたボビーが、発達障害のローザとその母ヴァルに出会う。ふたりは優しくて愛情深く、めっちゃ癒されるボビー。またローザとヴァルは昼間、移動図書館(巨大ブックトラックみたいになってて車で牽引するやつ)掃除の仕事をしていて、ボビーはそれを手伝いつつ、いろんな蔵書に触れて、物語の世界を楽しむようになる。しかし3人の穏やかな日々はすぐに脅かされるようになる。そこで3人はもう二度とボビー父やら近所のいじめっこやら世間体やらにボコボコにされないよう、移動図書館に乗って逃げる。さらに途中で脱獄囚ジョーと出会って仲良くなったりして最終的には4人でなんやかんや大冒険する。

 

家族のあたたかさとか、無償の愛とか友情とか、孤独とかなんやかんや大切そうな話がメインに描かれていてそれはそれで泣けるのだけれども、ヴァルがボビーに本との付き合い方を教えるくだりがすごくよかった

 

「本を読んで、その物語に命を吹き込めば、本の中で起こる出来事があなたの身にも起こるわ」

と言われて、危険だらけでくそな日常を生きてるボビーくんは「自分自身の物語は、もう定められているようなものだ。そんなもの読んだって意味がない」って言って最初それを信じないんですけど、いろんな素敵な物語を読むうちに、例えば永遠に楽しい夏休みが続くこととかを「どこかの世界では、まだ読んだことがない本の中では、きっとありえない話じゃない」って思うようになるのです。この過程がすごく感動的だった

 

子供の頃って物語の世界と自分の生きてる世界のあいだに境界がなくなかったですか!?

・魔女になるために、魔女が出てくるお話の本ぜんぶ読み尽くさなきゃと思って母に本屋で目に付いた魔女が出てくる本をねだりまくっていた

・幼稚園にモンスター的なものが現れたとき、自分がカードキャプターさくら的に変身してみんなを助ける想定を常にしていた

・中学校に上がれば少女漫画みたいな彼氏ができると思っていた

・高校に上がれば少女漫画みたいな彼氏ができると思っていた

・大学に上がれば小説みたいな彼氏ができると思っていた

 

思えば後半2、3個は半分位「無理かも」「無理だろ」「無理っぽい」って思ってたから、やっぱり物語と現実のあいだに境界がなくて自分の中でいくつもの世界が地続きになっていたのってごく小さい子供の頃だけですな。すごく貴重な、素敵な時間だったんですねあの時間は。さくらちゃん日本のどっかにいるって普通に思ってたもんな。魔法使いもまあ日本にいるとは流石に思ってなかったけど遠くの国にはさすがにいるだろと思ってたし。

 

でもそこから色々と現実世界に関する知識を身につけて、魔女もさくらちゃんも少女漫画のヒーローもこの世界とは違う別の世界に生きている人たちだと理解しました。

さらには世の中のよくわからん理不尽とか他人の悪意とかを目にするうちに、中二病も相まってそれまで親しんできた物語の主流である「ハッピーエンド」をものすごく非現実的だと感じるようになり、ついにはハッピーエンドのフィクションを全般的に「嘘くさ」とか思ってしまうようになってしまったことよ。それでなぜか破滅的なバッドエンドには無根拠にリアリティを感じてしまう。世の中「イヤミス」(嫌な感じで終わるミステリー小説)も流行ってたことだし、普通そうなのか…

 

この本を読んで、小さい頃なんであんなに小説を読むのに夢中だったのかわかったような感じがして軽く感動してしまった。どの物語も自分に直接関係ある話に思えていたんだろうなー。だからハッピーエンドで話が終わるたび素直に幸せに思えてたんだろうなー。そういえばバッドエンドの話(ディズニーじゃない、泡になって終わる原作タイプの人魚姫とか)だいっきらいで母に「二度と読み聞かせないで」とか言ってたらしいし。自分の世界の話だから耐えられなかったんだろうなー。

 

『図書館は逃走中』は一応ハッピーエンなんだけども、それに至るまでのアンハッピー(ボビーの半端ないいじめられ方など)がめちゃくちゃ鮮烈なので「チッ、リアリティのないお花畑ストーリーだぜ」とはとても言えない。むしろ、ボビーたちが大団円を迎えるような優しい世界がちゃんとこの現実世界のどこかに存在していて欲しいと願っちまったぜ!

 

すごくよい本でした。本にかじりついていた幼き頃の自分、かわいか~。と思いました。

 

ねる。